ガザ侵攻前夜
Gaza rocket misfires, 2 dead (VIDEO 0:46)
http://jp.reuters.com/news/video?videoId=96028&videoChannel=200
Gaza rocket kills Palestinian girls
http://english.aljazeera.net/news/middleeast/2008/12/2008122692917231764.html
Two children killed, one seriously wounded in an explosion in Beit Lahia
http://www.imemc.org/article/58160
Gaza braced for Israeli offensive
http://jp.reuters.com/news/video?videoId=96029&videoChannel=200
イスラエルとハマスの六か月間にわたる停戦が終了した。
停戦中も、双方の軍事攻撃が完全に止んだ訳ではなかった。
しかし、まがりなりにも『停戦』のようなものはなんとか継続した。
パレスチナ側の要求は、はっきりしている。
<ガザ封鎖の解除>である。
その為には、カッサム・ロケットの発射を停止することに、
ガザ住民の圧倒的多数は支持したと思う。
イスラエル側の要求は、スデロットなどへの
カッサム・ロケットや迫撃砲弾の発射を止めさせることだ。
しかし、ガザ封鎖は解除されなかった。
完全に物資の搬入を阻止した訳ではなく、
『餓死しない程度の最低限』というものだった。
ガザ住民にとっては、まさに絶望的状況が殆ど何ら解決しなかった。
停戦中も双方が軍事行動を行った。
ガザからカッサム・ロケットや迫撃砲弾が、完全に止んだ訳ではない。
パレスチナ側は、無抵抗だったにも関わらず、
イスラエルが一方的に軍事攻撃を行った訳では全くない。
これは客観的事実だ。
ガザからエジプトへのトンネルは、800本とも、2000本とも言われる。
密輸品が結構搬入されていて、一部では物資が豊富に流通している。
しかし、物資があっても、それを購入する経済力のある人々は少数だろう。
六か月の停戦を行っても、ガザ封鎖は解除されないではないか。
ならば、停戦に何の意味があるのだろうか。
ガザ住民の多くが、そう考えていることは理解できる。
では、どうするのか、停戦を継続すれば、ガザ封鎖は解除されるのか、
そうは考えられないだろう。
しかし、だからといって、イスラエルへの軍事攻撃を激化することを、
ガザ住民の多くが支持するとも思えない。
イスラエル側の言い分にも耳を傾けねばならない。
ここ数日で、スデロットなどへのロケット弾や迫撃砲弾は、二百発以上だ。
幸い死者は出ていないが、負傷者は出ている。
死傷者が出なければ、それでよいというものではない。
子供達に限らないが、PTSDで苦悩する一般住民も多い。
スデロットやアシュケロンの非武装の一般住民に
ロケット弾や迫撃砲弾を撃ち込み続けること自体がそもそも問題だ。
アルジャジーラのインタビューに答えて、
イスラム聖戦のスポークスマンが答えている。
「イスラエルの刑務所での発砲への報復である」と。
イスラエルの刑務所で非難すべきことが生起したのなら、
どんどん非難すればよい。
それが何故、スデロットの一般住民にロケット弾や迫撃砲弾を
撃ち込むことになるのか。
何らの正当性もない。
完全に誤っている。
こんなものは、レジスタンスではない。
いや、レジスタンスではあるのだろうが、
誤ったレジスタンスだ。
一体何の為にロケット弾や迫撃砲弾を発射し続けるのか。
ガザ150万住民が切実に望んでいるガザ封鎖解除を
実現する為の行為でないことだけは確かだ。
むしろ、イスラエルを挑発し、軍事侵攻を呼び込もうとする
行為であるとしか私には考えられない。
私は、ガザで武装解除など要求しない。
イスラエル軍の軍事侵攻の可能性は常時あるからだ。
侵攻して来た外国軍と戦うことは、レジスタンスである。
それはそうなのだが、
今、現在、ガザからロケット弾や迫撃砲弾を
スデロットの住民に撃ち込み続けているのは、一体全体何の為なのだ。
こうやって、軍事攻撃を続ければ、イスラエル軍はガザに軍事侵攻して来る。
ガザに軍事侵攻して来れば、それと戦うのは、レジスタンスではないか。
、、、これは、何かおかしい、何かが間違っている。
イスラエル軍の空爆や、軍事侵攻で、
ガザの一般住民が殺傷されれば、私はそれを非難し続けてきたし、
今後も非難し続けるだろう。
ガザの一般住民が血を流し、呻いている姿を観れば、
イスラエル軍の蛮行に激怒するだろう。
それはそうなのだが、何かがおかしい。
そうやってガザからのロケット弾や迫撃砲弾の攻撃が続いており、
その後、イスラエル軍が空爆や侵攻を行う。
そして、パレスチナの一般住民の流血の映像をアルジャジーラやBBCで観る。
その映像に胸を痛め、イスラエル軍の蛮行を非難する。
それがこれまでの私の基本的な姿であった。
私は、こんな私自身の姿に、何か欺瞞的な匂いを感じずにはおれない。
何かがおかしいのだ。
何かが欺瞞的なのだ。
完全に武力行使を停止しているガザに軍事侵攻するなら、
私は、一点の曇りもなく、イスラエルの軍事攻撃を非難できる。
しかし、スデロットやアシュケロンの非武装の一般住民に
ロケット弾や迫撃砲弾を撃ち込み続けることによって、
イスラエル軍の侵攻を、呼び込もうとしているのなら、
そんなパレスチナ側の軍事攻撃をも非難せねばならない。
双方の一切の軍事行動に反対する。
私の現時点での考えはそうなる。
ガザで武装解除を求めない。
武装したままで、双方の完全な武力行使の停止を求める。
ハマスはかつて、武装したままでの<一方的停戦宣言>を行った。
私は、<一方的停戦宣言>なら支持できる。
それに対して、イスラエル側も、そう簡単には軍事行動は採れない筈だ。
完全には無理かもしれないが、双方で多くの死傷者を出す
最悪の事態は避けられるのではないか。
パレスチナ独立や難民の帰還権という、より高次の、そして本来の問題など
議題にすら上らないような現状にそもそも問題があるのだが、
現在のガザ住民の第一の切実な要求は、ガザ封鎖解除にあることは明白だし、
ガザの為政者は、住民の第一の切実な要求を実現すべく努力しなければならない。
ハマスは、本当に、ガザ封鎖解除を実現することを目的としているのか疑問だ。
実力で克ち得たガザ実効支配を維持することの方を
優先しているのではないかという疑念が払拭できない。
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(2008年12月27日、日本時間19時のニュース(BBC,CNN))
イスラエル軍はガザに空爆を行った。
まだ第一報で、被害の詳しい状況は分からないが、
かなりの死傷者が出ているようだ。
この日朝のニュースでは、イスラエル政府は、
今後48時間以内にロケット弾攻撃が止まなければ、攻撃すると警告していた。
そして、警告通り、攻撃を行った。
私は、イスラエル側の攻撃だけを非難することはしない。
非難すべきは、双方の軍事行動だ。
決して、片方だけの軍事攻撃を非難したりはしないし、
それは誤りだと思う。
言うまでもなく、イスラエルにも自衛権はある。
スデロットやアシュケロンの一般住民にロケット弾や迫撃砲弾が
撃ち込み続けられることを黙過することはできないのは当然だ。
北朝鮮が日本に、三日間で二百発以上のロケット弾を撃ち込み続けて、
それに対して、軍事攻撃を行うなという日本人は殆どいないだろう。
いや、最初の数発が発射された時点で、壊滅的な攻撃を行うだろう。
<目的>:<スデロットやアシュケロンへのロケット弾攻撃を止めさせること>
しかし、この目的を実現する<手段>が正しいとは言えない。
ガザ150万人への「集団懲罰」だ。
何故、150万人の一般住民が「集団懲罰」を受けねばならないのか。
手段が完全に間違っている。
もちろん、イスラエル政府の<裏側の目的>は、
<ハマス政権の打倒>なのだが、
その<裏側の目的>を実現する<手段>としても、
『有効』ではないのではないだろうか。
ガザの一般住民は、イスラエル政府のガザ封鎖を非難するのであって、
それがハマス政権の責任だとは考えていないだろう。
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イスラエルはガザを占領している。
確かにガザの入植地は撤去した。
ガザ内にイスラエル軍は存在しない。
しかしガザの陸海空を完全に掌握している。
ガザの出入りのコントロールを握っている。
これを国際法的には占領という。
占領者には、義務と責任がある。
被占領者の生活を保障せねばならない。
占領地の住民の衣食住を満たさねばならない。
本来占領者たるイスラエルが為すべきことを為さず、
国連等の人道支援にさせている。
占領するなら、非占領者の衣食住に責任があるのであり、
それが占領のコストでもある。
しかし、例えば食糧は、イスラエルが提供している訳ではない。
もう数十年も国連等に肩代わりさせている。
何とも無責任な占領者であり、
占領コストを体よく国際社会に負担させている。
本来は、占領者たるイスラエルが負担せねばならないものなのに。
それが否なら、占領を止めれば済むことだ。
占領は止めない、しかし、コストは負担しない。
何とも身勝手な、やりたい放題を数十年も続けてきた。
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