パレスチナ問題について考える
パレスチナ人拘束者を弄んで楽しむイスラエル軍兵士達の笑い声、
心底楽しそうだ。
もちろん、全てのイスラエル軍兵士がそうだとは思わない。
このニュースを報道しているのも、イスラエルの
ハアレツ紙であるということもまた客観的事実である。
イスラエル対パレスチナ、
民族、宗教、人種の対立ではないのだ。
戦争を望む者達と戦争を望まない者達の闘いこそ本質だと思っている。
それを民族、宗教、人種の対立へとすりかえる
様々なものと衝動とも戦わねばならないと思う。
「戦争を望む者」はなぜ戦争を望むのでしょうか?
そこに利益を得るからです。
経済的な側面からは、
例えば、軍事関連企業は、直接的に収益を得ます。
厳密に言えば、必ずしも戦争をしなくてもよいのです。
『軍事的緊張関係』が生じ続ける限り、『需要』はあるのですから。
兵士も給与等の利益を得ます。
軍事関連企業に勤める者もまた利益を得ます。
軍事基地で働く労働者も賃金を得ています。
基地周辺住民も直接的、間接的に利益を得ています。
(不利益も同時に得ていますが)
ただ、昔は、沖縄では基地労働者が反戦を掲げてストを行ったこともあります。
軍事基地で給料を得ているが、しかし、戦争には反対だと。
彼らは自らの自己矛盾とも葛藤しながら反戦闘争を担っていました。
イデオロギー的な側面もあります。
「他国の『脅威』から自国を守る」というイデオロギー
特に、自国を守る為には、先制攻撃も許されるというイデオロギーもあります。
いや、現実に存在するだけでなく、そういうイデオロギーに則り、
イラク戦争は行われたのであり、
イスラエル政府の基本的イデオロギーもまた、そうだと思います。
つまり、国家のイデオロギーと経済的欲求とが合致し、
政府が戦争政策を遂行するのです。
『自国防衛イデオロギー』と軍需産業は昔から連携してきたのであり、
特にネオコンの先制攻撃イデオロギーが、国家の政策にまで昇華してしまった
のが、ブッシュ政権によるイラク戦争だったと思います。
しかし米国はイラク戦争での泥沼に懲りて、その国家政策は転換しつつあります。
イラク戦争の泥沼でのた打ち回っている間に国際状況は一変しています。
もはや、米国の単独行動主義は修正を余儀なくされました。
「一超帝国」の没落は、もはや誰の目にも明らかです。
次期米政権は、否応なく『国際協調主義』を採らざるをえません。
イラクでも、アフガニスタンでも、米政権の占領統治政策は変わり始めています。
イスラエルの場合は、複雑な特殊事情があるので、
一般的な「経済の軍事化」とかだけでは理解できません。
しかし、そこに軍需産業の利害があることもまた確かな事実です。
イスラエル国家という統一を維持するといイデオロギー、
いや、国家存亡の根幹にかかわる問題もあります。
イスラエルが、「ユダヤ人国家」というのは、明らかなデマゴギーです。
イスラエルは、多民族、多宗教、多人種国家なのですから。
その複雑怪奇な国家の統一を維持し続ける為には、
何を為すべきなのか、イスラエルの支配層の根底にあるものでしょう。
そういうイスラエルの支配層の立場に立つなら、
国家存亡の危機、緊張を維持し続けること自体にも利益を見出します。
内部矛盾を外部に転嫁するというのは、支配層の歴史的伝統手法です。
だいたい、イスラエルの現在の現実はどうでしょうか?
そもそも人口750万人の約二割はパレスチナ人だし、
旧ソ連圏からやって来た連中は、そもそもユダヤ人と言えるのかさえ
不確かであり、例えば、ロシア語しか話さないエスニック・コミュニティが
百万人から存在しているのです。
アラブ圏から来たユダヤ人は、人種的にはほとんどアラブ人種ですし、
エチオピアから来た(来れない)人々の問題もあります。
その上で、「ユダヤ人国家」を存立し続けるというのは、
本質的矛盾です。
イスラエル国家が、存続したければ、周辺諸国と対話し、
すいませんが、私達もここに居させて下さいと頭を下げねばなりません。
当然にも、難民の帰還権を認め、
現実には、現イスラエル領内に帰還を求めるパレスチナ人は
一割程度のようですから、イスラエルの許容範囲だと思うんですけどね、、、
現イスラエル領内には帰還しない人々には賠償金を支払えばよいではないですか。
現在のような状況をあと数十年続けるより、経済的には、
失うものより、得るものの方が、明らかに大きいと思えます。
経済的観点からは、経済収支という観点からはそうだと思うんですけどね、、、
しかし、今度は、逆に、経済的要因を国家の政策が逆規定するんでしょうね。
経済的収支よりも、国家存続の現政権の政策の方が優先されると。
下部構造が上部構造を規定するだけではなく、
上部構造が下部構造を規定し返しています。
複雑怪奇なようにみえて、実は素朴単純なのかもしれないとも思っています。
イスラエル国民の内の、約二割のパレスチナ人、
イスラエル軍にも就役しているベドウィン、
旧ソ連圏やアラブ、アフリカ諸国から、「より良い生活を求めて」
やって来たイスラエル国籍を持つイスラエル人。
彼らは、イスラエル政府の占領統治を望んでいるのでしょうか。
その多くが占領統治の継続を望んでいるとは思えません。
マアレ・アドミムに住むロシア人は、
「エルサレムの勤務地に近くて便利。
政府の援助で家賃も格安」と述べていました。
このように、確かに、間接的に利益を得ています。
しかし、パレスチナ人の土地を奪い、自由を奪ってまで、
その利益を得続けることを肯定するのでしょうか?
自国政府の占領統治政策にこそ反対することを自覚することが必要です。
そう自覚を促す為には、カッサムロケットの発射は、
有益なのではなく、有害なのです。
『仕方がない』と現状を肯定する方便に使われてしまうのです。
パレスチナのイスラエル双方の、
政府の戦争政策に、
政府の占領・統治政策にこそ反対する自覚を
生み出すことこそ大切だと思っています。
私の出発点は、あくまで、<目の前の生きた現実>です。
そして、因果律に則り、今、ここで生起していることは、
過去からの継続です。
目を背けたくなるような凄惨な現実から出発せねばなりません。
何故、こんなことになってしまうのかを考察せねばなりません。
そして、そこからしか、<次の一歩>は、出てはこないのです。
現実は、日々、変わっていきます。
ここ、一、二年で、イラクとアフガニスタンの現実もかなり変化しました。
国際情勢自体が大きく変化しつつあります。
ここ数年で、南米は、殆ど全て、非米、反米の国々となりました。
「親米」とされる国はコロンビア一国となってしまいました。
チリのアジェンデ政権を崩壊させたCIAのクーデター、
CIAはそれをボリビアでやろうとはしたのですが、
既に時代は変わってしまっています。
周辺諸国が即座に結束してそんな蛮行を許しませんでした。
中露の躍進を背景にした上海協力機構の準軍事同盟化
南米諸国の非米・反米化、
そこには、そうなる必然性があるのです。
IMF・世銀、アメリカにいいように収奪されてきた『後進諸国』の怨念、
南米諸国の非米・反米化の根底で突き動かすものこそ、
IMF・世銀、アメリカの横暴に対する怨念です。
「もはやお前達の好き勝手できる時代ではないのだ」と。
パレスチナ情勢もまた、
イスラエルとアメリカの好き勝手できる時代でなくなることは、
歴史的必然性を有すると考えています。
その上で、私の一番の希望は、できるだけ血を流さないことです。
私は、「囚人文書」を支持しています。
・軍事攻撃は、占領地の占領軍のみに限定すること
・パレスチナ人大衆の非暴力直接行動による反占領闘争
イスラエルの蛮行が、一日、二日後には、その映像がネットに流通する時代です。
ネットを過信するのもまた誤謬ですが、
その役割は小さくはありません。
パレスチナ人大衆の非暴力直接行動で占領を終わらせること。
それは、現実的可能性を有しています。
リヴニ首相は、暗殺されなければ、
パレスチナと交渉し、
壁は、少しは、譲歩して、動かしつつも、
基本的に、その分の土地を交換しようと考えています。
まあ、それで双方の大多数が納得するというのであれば、
私に、文句を言う筋合いは、ほとんどなくなります。
現地の人々の大多数がそれで納得するというのならですが。
確かに、「囚人文書」など“死文書”と化していることは
自明の事実であるかのような冷厳な現実が今、目の前に横たわっている。
数年、数十年と現地パレスチナで闘ってきた諸党派の人々が、獄中内外で、
議論に議論を重ねて、漸く一致点を見出した。
パレスチナの過半数以上の人々もまた支持した。
問題は、それが“死文書”と化しているかのようになっているのは何故か。
ハマスとファタハの余りにも凄惨な権力闘争によるものだ。
凄惨な権力闘争の方が、間違っているのであり、
囚人文書及びそれを生み出そうとした労力の方が正しいのだ。
凄惨な権力闘争などパレスチナの圧倒的多数が辟易していることは明らかだ。
囚人文章は、そういうパレスチナの様々な立場を統一していく、
「統一戦線」の基本的方向性として、その輝きを失ってはいない。
囚人文書の輝きは何ら色褪せていない。
色褪せているかのように、見せしめている現実世界の方が腐敗しているのだ。
パレスチナ人が現在どういう苦境を日々送っているか、
どういう現実の中で、日々暮らし、
何に悩み、何に憤慨し、何にぶち当たっているいるのか、
現状をどう捉え、どう闘おうとし、
何故闘い得ないのか、
現状をどう乗り越えようとし、
何故乗り越え得ないのか、
私は、そういうパレスチナのリアルな現実に日々迫っていこうと
努力しようとは思い、日々努力しているつもりだ。
今、この時、絶対安全地帯で、ぬくぬくと日々を過ごし、
パソコンに向かい、好き勝手なことを書きなぐる、
私は、これでいいんだろうか、、、
、、と自己に不断に問い返しながら。
「米一超帝国の終焉」とは、
国連安保理決議など要らない、
古いヨーロッパなど要らない、
俺について来る奴だけついてこればいい、
英国が参加しなくても、米国一国でもイラク戦争を遂行する、
この自信に満ちた米一超帝国はもはや存在しないということだ。
相対的なものだ。
・米
・EU
・中露・南米・アフリカ諸国
現代世界は、基本的には、“三極構造”となっており、
そういう意味で、「米一超帝国の終焉」は、既に眼前にある。
米五大証券会社が全て消滅した。
米金融錬金術は完全に破綻した。
プーチンの経済戦略も着々と進んでいる。
・天然ガス版OPEC結成で合意している
(露・サウジ・カタールで全世界の天然ガスの七割を占める)
・カスピ海資源争奪戦:欧米のBTCパイプライン構想に対する露の圧勝
(サウス・ストリーム、トルクメニスタンの取り込み
まあ軍事的には、まだ「一超帝国」ではあるかもしれないが、
政治的、経済的には、もはや明らかにそんなことは言えない。
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