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2008.06.26

ガザ停戦違反について:パレスチナ内部の合意違反ではないのか

①西岸のイスラエル軍の軍事行動によりイスラム聖戦のメンバー二人が殺害される
②それへの報復としてガザからイスラム聖戦がスデロットにカッサムロケット三発を撃ち込む

①は糾弾されるべきことです。
占領軍が占領地で被占領民族を殺傷する行為であり、
厳しく糾弾されるべきことです。

しかし、その糾弾の仕方として、何をやっても良いということにはなりません。

糾弾されるべきことですが、問題は糾弾の仕方です。

ガザからロケット弾を発射することは、糾弾の仕方として間違っています。
何故ならスデロットの一般市民への無差別攻撃だからです。

更に単に間違っているだけでなく、同時に停戦違反です。

西岸の占領軍に攻撃されたのなら、西岸の占領軍を攻撃すればよいではないですか。
私は軍事攻撃をしろと思っている訳ではありませんが、
占領地の占領軍と戦闘する行為がテロだとは全く思っていません。

今回の停戦合意がガザと西岸の両方で行われるという合意がなされていたのなら
イスラエル軍の西岸での軍事行動は停戦違反ですが、
西岸は停戦合意の領域ではありませんから、形式上は停戦違反ではありません。

そもそも停戦に合意している時点で、
西岸でイスラエル軍が軍事行動した場合、
ガザからロケットを発射するのかしないのかが、
事前に協議されていたはずです。
2007年の停戦が崩壊した折にも、全く同様に西岸でイスラエル軍が軍事行動を
行い、それへの報復という名目でガザからのロケット発射を正当化しようと
してきたのだからです。
だから当然、今回の停戦合意の前に、ガザのイスラム聖戦等とハマスとの間で、
西岸でイスラエル軍が軍事行動した場合、ガザからロケット発射するのか、
しないのかを巡って協議しているはずです。

パレスチナ各派間での合意内容に、今回のガザからのロケット発射は、
合意違反なのか、それともそうではないのかが私には問題です。

もしイスラム聖戦が西岸で軍事攻撃があっても、ガザからロケット発射しないと
確約していたにもかかわらず発射したのなら、合意違反として糾弾されるべき
です。

今の所、ハマスはイスラム聖戦に対して、「説得を続ける」としているだけで
イスラム聖戦を糾弾してはいないようです。

ガザのパレスチナ各派間で一体何を協議し、何に同意したのか、
その内容が基準です。
自らの基準に違反した者に対しては処罰するべきです。
処罰といっても、内部で戦闘しろという意味ではありません。

ロケット発射の責任者を逮捕・拘束するとかです。

そういうことも今の所全くないようです。

イスラエル軍の西岸での軍事行動は、重々予測されたものです。
2007年もそうだったのですから。
その場合、どうするのかまで詰めている筈です。
もし詰めていなかったら馬鹿です。
予測もできなかったことが突発的に起きた訳では全くないのです。
まさかイスラエル軍がそのような挑発行為などしないと
イスラエル軍を『信頼』していた訳でもないだろうに。

私としては、もっと事前に徹底的に、停戦違反した者や組織は、
逮捕・拘束すると高らかに宣言しているべきだと思います。
かつそれを実行するべきだと思います。
でなければ停戦合意する意味、停戦合意を遵守する責任とは何なのでしょう。

ハマスがガザを統治するというのなら、統治者として、
合意違反者をどう賞罰するのか、その責任があると思います。

合意違反者がいても、何もせず傍観するのなら無責任です。

事前にパレスチナ内部で徹底的に協議し、
合意した内容をどう遵守するのか、

パレスチナ社会全体に合意内容を普遍化し、
そうすることによって、もし違反した場合、
パレスチナ社会全体で、違反者の責任を問うという
体勢作りが為されていたのか疑問です。

もういい加減、あんなカッサム・ロケットなどというものを
完全に廃絶するべきだと思います。

私は武装放棄しろと言っているのではないのです。
ガザへの軍事侵攻も予測されるのですから、
パレスチナ側も軍事的自衛手段を持つ権利があります。

しかしスデロットの一般市民に無差別にロケット攻撃をするという行為自体が
私はレジスタンスだなどとは思っていませんから、
完全に止めるべきだと考えています。

今回の事態は直接には停戦違反であるとともに、
パレスチナ内部の矛盾が外化したものだと捉え返します。
パレスチナ内部の不統一が外部に現象したものであると。

パレスチナ内部に様々な意見・路線があるのは
当然であり、健全なことです。
違いがあるからこそ協議するのです。
しかし協議の上で合意したことは<全体性>を持ちます。

合意しておきながら、違反したのなら、内部的な処罰が必要です。
外部からの処罰ではなく、内部での合意違反への処罰です。

イスラエルが西岸で軍事行動をとり、パレスチナ側が報復として
ガザからロケットを発射し、パレスチナ側が先に停戦違反を犯した。

もう絵に描いたような筋書きが何度も繰り返される。

そういう意味で
パレスチナは相変わらず余りにも稚拙であり、
イスラエルは相変わらず政治的に老練であり、老獪です。

こうして国際政治レベルではイスラエルが政治的ポイントを獲得しました。

しかし、ガザの150万人を圧力釜で沸騰させ続けることが、
イスラエルの安全保障にとって、良いことであるとも思えません。
ガザ150万人を圧力釜で沸騰させ続ければ爆発することは余りにも当然です。

イスラエルはガザを爆発させたいんですか?

そうとも思えません。

パレスチナ側が先に停戦違反を犯したということを国際社会に確認させ、
その上で、イスラエルは、『寛大にも温情を示す』ということでしょうか?


内部対立を抱えない国家などあり得ません。
「市民社会は万人の万人に対する闘争」なのですから。

内部分裂という意味では、イスラエルの方が余程深刻です。
多民族、多人種、多宗教、これだけ複雑怪奇なエスニック集団による
人造国家がよく統一を保てているなと感心する程です。

そういう深刻な内部分裂を抱えるイスラエルの
統一を維持する最善の効果は外敵なのでしょうね。

「常に外敵の脅威にさらされている」ことによって、
深刻な内部分裂を抑えている訳です。

しかし同時に国家の安全保障も果たさねばなりません。
具体的にはスデロットやアシュケロンにロケット弾が撃ち込めまれることに
当然にも対処せねばなりません。

そういう意味では、イスラエル側もまた自国の安全保障政策に於いて
失敗しているのだとも言えると思うのですが、、、

<何故イスラエルは西岸で軍事行動をとったのか?>

①それへの報復としてガザからロケット弾が発射されることを計算し、
②よって、パレスチナ側に先に停戦違反を犯させる

確かにそういう目論見は成功したと思います。
現実政治レベルでは得点したでしょう。

しかし、より根本的な意味で、
自国の安全保障政策上、得策なのでしょうか?

つまり、相手を追い詰めて、
「窮鼠猫を噛む」ということを理解できない訳でもないだろうに、、、

もし本当にガザでの停戦を維持し、更には西岸に拡大したかったのなら、
イスラエルは西岸での軍事行動を自制する筈だと思うのですが、、、

イスラエルが西岸で軍事行動をとり、死傷者を出せば、
報復としてほぼ必ずガザからロケット弾が発射される。

このことはほぼ予測されていたことです。
ほぼ『常識』と言っていいのかもしれない程に。

そして、パレスチナの一般民衆レベルでも、
「やっぱりイスラエルは和平に本気じゃないじゃないか」と
受け止められることまで予測できたことのように思われます。

にもかかわらず、イスラエルが西岸で軍事行動をとる意図は何なのでしょうか。

しかも西岸での武装組織の武装解除はかなり進んでいると認識しています。
「ほぼ」と言ってもいい程、西岸では武装解除は進んでいると思うのですが、、、

<私の最大の基準>は、<一般市民の苦しみが軽減すること>です。

それはパレスチナでもイラクでも、どこでも変わりません。

例えば苦しむガザ150万人にとって、今回の停戦でやっと一条の光明が差した
と思ったら、またしても、逆戻りか、ということです。

2007年の停戦後もイスラエルが西岸で軍事行動をとり、
ガザから報復としてロケットを発射する。
完全なデジャブです。全く同じことを毎回繰り返している。
そして結果として一般市民の苦しみは増す。

私は歯がゆいのです。

「何やってんだよ!」と。

だからイスラエル軍が「先に」手を出したかどうか、
それが報道されているかどうかということは、
ガザ150万人の苦しみにとっては、どうでもいいことです。

「米英メディア」が『穏健派』という修飾語をつけるファタハ傘下のカッサム
旅団がロケットを発射したことなどは、完全に党派的利害です。
ガザのハマスを窮地に追い込むのが目的であり、
その為にガザ150万住民が苦しもうと構わないということです。
ハマスもまたガザを実効支配する為には同胞を多数殺傷したけれども、
停戦を維持し、ガザ150万住民の苦しむを低減する為には、
強権を発動しはしない。自らのガザ支配が揺るがないことの方が、
ガザ150万住民の苦しみが減るかどうかよりも大切なのです。

もちろんイスラエルは老獪ですが、
党利党略第一のパレスチナ諸組織の馬鹿さ加減もまた許し難いのです。
ガザ住民いや、全パレスチナ人の苦しみが消えない、
その最深の根拠、パレスチナ側の主体的根拠こそが私には問題です。

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