パレスチナのカッサムロケットをも非難している決議案を何故拒否するのか
米の拒否権行使に非難相次ぐ イスラエルのガザ住民殺害問題
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2709499/detail
砲撃で市民死亡 非難決議、米が拒否権 日英は棄権--国連安保理
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/chuto/news/20061113dde007030132000c.html
「当初案がイスラエルへの非難だけを強調していたため、仏などの要求で
パレスチナ側のロケット攻撃を批判する文言を加えて修正されたが、
米国のボルトン国連大使は「イスラエルへの偏見がある」と拒否権を行使した」
イスラエル砲撃への国連非難決議案 米拒否権行使で否決
http://www.asahi.com/special/MiddleEast/TKY200611130016.html
「決議案に賛成したフランスのドラサブリエール国連大使は記者団に
『決議案はバランスが取れていたのに、採択されず残念だ』と述べて、
米国を批判した」
After deadly Gaza shelling, senior UN official urges
Israel, Palestinians to return to talks
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=20544&Cr=palestin&Cr1=
Since the end of June, more than 450 Palestinians have been killed
in the Gaza Strip.
六月の終わり以降、450人以上のパレスチナ人がガザ地区で殺害されました。
Since Israel left, more than 1,000 rockets had been fired at Israelis.
イスラエルが(ガザを)撤退して以降、千発以上のロケット弾が
イスラエルに発射されました。
イスラエル非難決議について その1,2@インディペンデント
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/92cd8d8532902ed1c141de6411960336
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/fa387e1c4b65241de145db15a6b5eb8b
US vetoes Security Council draft resolution on Israeli operations in Gaza
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=20576&Cr=Palestin&Cr1=
U.S. Vetoes UN Resolution Condemning Israeli Attack on Gaza,
Arab League Lifts Financial Blockade
http://www.democracynow.org/article.pl?sid=06/11/13/1516257
<私の感想>
ガザからのイスラエル撤退後のパレスチナ側からのイスラエルへの
カッサム・ロケット弾発射には正当性はないと私は思っています。
ですから、パレスチナ側のカッサムロケット発射を非難せず、
イスラエルだけを一方的に非難するのなら不当だと思っています。
しかし、フランスによる修正案によって、
パレスチナ側のカッサムロケットへの非難も同時に盛り込まれたのですから、
この決議案を拒否する理由は一体何なのでしょうか。
私には理解できません。
パレスチナ側のカッサムロケット弾攻撃は、
イスラエルの一般市民への無差別テロです。
その威力は大きくはないのだとしても、
数人の死者と数十人の怪我人、そして子供達等に
精神的苦痛、トラウマを与えています。
特にイスラエルのガザ撤退後のカッサムロケット攻撃には
一片の正当性もありません。
『政治的な歪んだ見方』をすれば、
あたかも、イスラエルの反撃による、パレスチナの一般市民への誤爆を引き出し
それを非難する為の挑発であると指弾されても致し方ないと思います。
ただし、イスラエル側の「カッサムロケットを撃たれるから」という反論は、
半分は口実にすぎません。
なぜなら、カッサムロケットを発射されなくても、過去の『テロ容疑』という
理由で、撤退後のガザでの暗殺攻撃は続けていました。
世界有数の人口密集地ガザで、暗殺攻撃を行うことは、当然、周囲の
一般市民への『付随的被害』が不可避に想定されるにもかかわらずにです。
イスラエルにはカッサムロケット攻撃への反撃の権利、自衛権は当然あります。
しかしだからといって、一般市民への被害を『付随的被害』として正当化する
ことは全くできません。
<自衛権の行使>は正当でも、
<一般市民への被害>は、全く正当化できません。
イスラエルは、「市民を傷付けるつもりはなかった」と繰り返し述べます。
まあ、その意見を認めるとしても、
たとえ、その通りなのだとしても、<一般市民への被害>を与えたという
<罪>は少しも消え去りません。
権利は権利ですが、罪は罪です。
・パレスチナ側は、カッサムロケット攻撃を止めること
・イスラエル側は、ガザへの一切の軍事攻撃を止めること
当然こうなると思うのですが、、、
実は、今年の六月、ハマスとファタハの間で、
収監者の提案に基づく合意が形成されつつありました。
1967年のラインでニ国家共存を目指すというものでした。
そこには、イスラエル本国への攻撃は行わない。
占領地での攻撃に限定するという内容も合意されつつありました。
しかし、合意に達する直前に、イスラエルへの越境攻撃が生起しました。
イスラエル本国への攻撃は行わないということは、
自爆テロや、カッサムロケット攻撃も行わないということです。
しかし、占領地での占領軍に対する攻撃は、テロではなく、レジスタンスです。
正当な抵抗です。
正当な抵抗に限定しようというものでもあったと思っています。
しかし、この合意形成をパレスチナ内部から崩壊させようとしたのが、
六月の越境攻撃であったのだと私は解釈しています。
それは、ハマス軍事指導部の意向か、シリアの意向か、その両方か、
あるいは、上記の合意形成を崩壊させることに利害を見い出す勢力もか、
それは私には分かりませんが、、、
ついでに、もう一つ。
自爆テロと自爆攻撃とは同じものではありません。
自爆攻撃とは、自らを爆弾運搬手段とする戦闘形態の一つです。
つまり、主体の側の問題です。
そして、その攻撃対象の側の問題として、
・攻撃対象が一般市民なら、それは自爆テロであり、無差別テロです。
・しかし、占領地の占領軍に対する攻撃なら、それは自爆テロではなく、
自爆攻撃というレジスタンスの攻撃の一形態です。
映画「パラダイス・ナウ」の中で、テルアビブに自爆テロに向かう者に向かって
「占領との戦いには、色々ある。オルターナティブがある」と語っていました。
全くその通りです。
反占領の戦いを止めろと言っているのではないのです。
自爆テロという闘争形態が、反占領闘争そのものを貶めてしまうと私は考えます。
また、敵に口実を与えてしまうと考えます。
武装闘争を止めろと言っているのでもありません。
イスラエル本国の一般市民を攻撃対象にするのは間違っていると考えます。
占領地の占領軍に対してなら、軍事攻撃は、テロではなく、レジスタンスです。
私個人としては、できるなら、政治闘争だけで
占領を打破して欲しいとも思っています。
現在では、メディアはますます発達しています。
ガザでの様子は、BBCなどがほぼ実況中継してくれています。
たとえ大手メディアを採り上げなくても、インターネット等で、
イスラエルの不正を暴き出し、公開する術はいくらもあります。
ベイト・ハヌーンでの女性のデモ隊への発砲もしっかり全世界に放映されました。
何も持たない非武装の女性達のデモにイスラエル軍は発砲し、
女性達がばたばたと倒れていく映像が全世界に送られました。
イスラエル軍の報道官は、女性の中に女装した武装勢力が交じっていて、
しかも発砲してきたから、反撃したのだと弁明しました。
しかし、そんな映像があるのなら、もう公開していたでしょう。
イスラエル軍もまたメディア対策をしっかり行っていますから、
軍に撮影部隊を同行させています。
そんな映像を公開できないということは、
そういう現実がなかったと言われても仕方ない面もあります。
ハマスとファタハ、更にはイスラム聖戦、PFLP等まで、
受刑者の提言を受け入れ、1967年のラインでニ国家共存を平和的に実現すること。
私は、そういう方向に向かっていたと思っています。
しかし、現実は変転していきます。
ヒズボラの『善戦』が、パレスチナにも影響を及ぼします。
ヒズボラのように戦えば良いのではないかという要因も形成されました。
私個人としては、改めて、受刑者の提言に則った方針で、
ほぼ全パレスチナが統一戦線を形成して闘うことを希望しています。
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