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2006.09.19

イスラエルのビザ政策で困窮するパレスチナ人

外国籍パレスチナ人の「帰国」を規制 強硬姿勢崩さぬイスラエル政府
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2520572/detail
Israeli visa rules hit Palestinian diaspora
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/03B2FF1F-2F01-4D2F-9178-1C9B6CF294FC.htm


Israeli Visa Policy Traps Thousands of Palestinians in a Legal Quandary
イスラエルのビザ政策は、法律上の困惑で
何千人ものパレスチナ人を窮地に陥らせます
http://www.nytimes.com/2006/09/18/world/middleeast/18palestinians.html?_r=1&ref=middleeast&oref=slogin
Mr. Bahour is one of thousands, or perhaps tens of thousands, of people
ensnared by an Israeli policy that has effectively frozen immigration
to the Palestinian areas of the West Bank and the Gaza Strip
since the current Palestinian uprising began in 2000.
This spring, after the radical Islamic group Hamas came to power, Israel
severed most contacts with the Palestinian Authority and moved to close
the last loophole in its immigration policy - the renewable tourist visa.
Bahour は、2000年に始まったパレスチナの反乱以来、
西岸とガザ地区のパレスチナの地域への移住を効果的に凍結したイスラエルの
政策によって陥れられる何千人もの、あるいは多分何万もの内の一人です。
この春、イスラム教過激派グループハマスが政権を獲得した後に、
イスラエルはパレスチナ自治政府との殆どの交流を切断し、その移住政策で
最後の逃げ道である更新可能な観光ビザを閉じようとしました。

Over the past six years, more than 70,000 people, a vast majority of
them of Palestinian descent, have applied without success to immigrate
to the West Bank or Gaza to join relatives, according to B’Tselem,
an Israeli human rights group that tracks the issue.
Many who followed Mr. Bahour’s route and worked around the ban
with tourist visas now have no legal way to remain.
問題を追跡するイスラエルの人権擁護運動グループ B'Tselem によれば、
過去六年にわたって、圧倒的多数はパレスチナの家系の七万人以上の人々が
親類に合流する為に西岸やガザに移住する申請をしましたが、
成功しませんでした。
Bahour の辿った道を追って、今観光ビザで禁止令に取り組んだ多くの人々が
残留する法的な方法を持っていません。

“These people are not really tourists -
they are living and working without legal permits,”
said Shlomo Dror, the spokesman for the Israeli government agency
that handles Palestinian affairs.
「これらの人々は本当は観光客ではありません。
彼らは居住しており、法的な許可証なしで働いています」
パレスチナの問題を処理するイスラエルの行政機関の
シュロモ・ドロール報道官が述べました。

“I know these people have a difficult life living this way,
and I feel sorry for them,” he said.
“I think we can solve this when we renew relations with the Palestinian
Authority, but right now, we are not talking to them.”
「私はこれらの人々がこのように難しい生活を過ごしていることを知っています。
そして私は彼らを気の毒に思います」と彼が言いました。
「私はパレスチナ自治政府との関係を更新する時、
これを解決することができると思います。
しかし今は、我々は彼らに話をしていません」

In her view, the Israeli policy has several purposes:
to apply political pressure on the Palestinians,
to create a bargaining chip that could be used in future negotiations
and to be a tool in a battle of demographics.
彼女の考えでは、イスラエルの政策はいくつかの目的を持っています:
パレスチナ人に対して政治的圧力をかけて、
将来の交渉で使うことができる交渉の切り札を作って、
そして人口統計の戦いでの道具として。

Palestinians also say the Israel policy will keep out well-educated,
middle-class and politically moderate members of the Palestinian diaspora
who could play an important role in developing Palestinian society.
パレスチナ人もイスラエルの政策が、パレスチナ社会の開発に重要な役割を
果たすことができる、パレスチナを離散して他国に住む、よく教育された、
中流の、そして政治的に中道のメンバーを締め出すであろうと言います。

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コメント

>1967年のラインでパレスチナ国家を建設することは、
国連決議で認められている、国際社会全体が認めている権利です。

1967年のラインに関する国連決議案242条ですが、①条文はイスラエルが六日戦争後占領した「全地域」からの撤退を要求しておらず(即ちイスラエルが放棄すべき地域は特定されていない)、②安保理は「67年の国境は(イスラエルにとって)安全でなくも防御も可能でない」という理由で採択に至っていないので、上のコメントは正しくありません。

たとえ67年ラインに近いところで最終決着がつくと仮定しても、西岸から地中海まで一番狭い所で幅8マイル(約13キロ)、ヨルダンのアンマン空港からエルサレム上空までたったの2分半で到達するという地理条件である上、イスラエル撲滅を国是(ハマス憲章)とする人々と隣合わせで生きているのですから、一筋縄ではいかないわけです。

それでもイスラエルはオスロ合意で「67年ラインの改訂版」(ガザの100%、西岸の95-97%を返還して入植地を撤収、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の建設)を提案して、アラファト議長に拒否されましたよね。それ以来パレスチナ「闘争」の本当の目的は「イスラエルの撲滅」以外何もないことがはっきりしたと思うのです。現在ボールはパレスチナ側のコートにあります。平和共存を求めてそのボールを打ち返すのか、ボールを握りつぶしてパレスチナ庶民の悲惨な生活を永遠化するのかは、アッバス/ハニエ以下の決断にかかっていると思います。

防御壁はハマスやファタハが何と言おうと、テロ防止に確実な効果をあげています。逆に言うと、テロさえなくなれば防御壁はいらないわけです。ちなみにイスラエルはレバノン、シリア、ヨルダン国境沿いにも壁を作っていますし、ガザも壁で分離されています。公式には認めていないと仰るアメリカでさえ、メキシコ国境沿いに万里の長城並みの壁を建設することが上院で承認されていますし、ロシアも最近チェチェンゲリラ対策として、イスラエルに壁建設の調査団を派遣しています。
人道上の問題から賛否両論あるのは理解できますが、当事国が殺人を唯一の目的として侵入してくる敵の便宜を図るより、国民の安全を優先することはごく当たり前のような気がします。

投稿: oopie59 | 2006.09.22 14:56

今日は、はじめまして、oopie59 さん。
コメントを有り難う御座います。

>元はといえば、イスラエルの存在権すら認めないハマス政権を選んだ
>パレスチナ人のほうに多くの問題があるのでは?

「元はといえば」というのはどういう意味か分かりませんが、
ハマス政権に問題があると思えば、その点を批判すればいいだけです。
是々非々です。
ある一つの問題は、それ自体として評価されねばなりません。
他との連関に於いて述べるのは、それからです。

私の価値判断の基準は、<実践そのもの>です。
ある実践、行為を価値判断の対象とします。
一般市民を殺傷する行為そのものが悪だと思いますので、
一般市民を殺傷する行為、その行為に責任のある個人、組織、国家等を
批判します。
・ハマスやファタハの一般市民への殺傷行為を批判します。
・イスラエル政府、軍による一般市民への殺傷行為を批判します。

イスラエル側だから批判し、
パレスチナ側だから批判しないなどという行為それ自体が間違っています。

私は、イスラエルの刑務所の囚人達が呼びかけた提言に賛同し、
ハマスとファタハ、更にはイスラム聖戦など、ほぼ全パレスチナの諸勢力
が、統一戦線を結成し、全パレスチナを上げて1967年のラインで
パレスチナ国家を建設すること、
しかし、イスラエルの一般市民には危害を加えないで行うこと、
言葉を変えて言えば、イスラエル本国への攻撃は行わないこと、
これら諸点に賛同します。
つまり、イスラエル撤退後のガザからのカッサム・ロケット攻撃は、
私は間違っていると思います。
しかし西岸の占領地での、占領軍に対する抵抗は正当です。
占領に反対する闘争には、政治闘争だけでなく、武装闘争も含まれます。
占領地での占領軍に対する攻撃は、テロではなく、レジスタンスです。
それは、イスラエルのリヴニ外相ですらそう認めています。
ただ、武装闘争に重点を置くより、
武装解除はしないということを維持し、
より多くは政治闘争で行っていけばよいと思っています。
1967年のラインでパレスチナ国家を建設することは、
国連決議で認められている、国際社会全体が認めている権利です。
だから、なにも武装闘争を行わなくとも、
平和裏に実現できるものと考えています。

現在のイスラエルは、1967年のラインを大きくパレスチナ側に
食い込んだ壁を建設しています。
こんなものは、ハマスだけでなく、ファタハも認めません。
国連決議にも反します。
国際社会で、こんな壁建設を認めている国は、一つもありません。
アメリカですら公式には認めていません。
リヴニ外相は、「壁はいつでも動かせる」と公式に述べていますので、
是非、1967年のラインより、イスラエル側に壁を移動して欲しいと思います。
本当は壁など不要だと思うのですが、壁を作る自由はあります。
ただ、それは自国内でなければならないのは、余りにも当たり前のことです。
アメリカが、メキシコ側に大きく食い込んだフェンスを建設したでしょうか。

投稿: 妹之山商店街 | 2006.09.21 21:09

個々のケースを検証していくと、確かにこの記事のような問題や矛盾、同情すべき点が多々あるとしても、元はといえば、イスラエルの存在権すら認めないハマス政権を選んだパレスチナ人のほうに多くの問題があるのでは?国益を最優先するのはどの国でも同じこと。現状を考えると、イスラエルの措置はやむを得ないと思います。

何でもイスラエルのせいにするのは簡単ですが、この件に限らず、パレスチナ人がイスラエルと共栄共存を目指す政権を選ばない限り彼らの窮状は変わらないと思います。

投稿: oopie59 | 2006.09.20 03:36

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