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2006.08.28

「アートを巡る旅:イスラエル」(BBC)

「古代の世界と伝統的な宗教、
そして国際的で世俗的、西洋的な社会が共存するイスラエル。
また美しいビーチと洗練されたビジネス街。
宗教の聖地、紛争の地域と数多くの顔を持った国です。
そんな社会を反映してか、現代美術も多種多様で、
イスラエルの芸術に今注目が集まっています。

イスラエルでは、アートが中東の政情不安から
逃れる為のカタルシスとなっています。
この国の複雑な歴史や現在の政情で感じたこと、
経験したことをアートで表現するのです。

デイビッド・リーヴは政治的な画家で、
パレスチナのバリケードで行われる抗議運動などを描いてきました。

アーティストの大半は海辺の街テルアビブ周辺で活動しています。
眠らない都市テルアビブは文化面でも大いに活気があります。
毎年恒例の芸術祭は、パフォーマンス・アート、街頭インスタレーション、
ギャラリーのオープンなどで賑わいます。

(Tami Katz-Freiman:Curator/Art Critic)
ハイファ美術館の館長
『イスラエルの芸術の魅力は、国の現状を見つめ、
それに反応した意味の深いアートが生まれているという点です。
現状というのは、必ずしも政治に関わることではありません。
ジャンダー、アイデンティティなどの
社会や個人の問題も掘り下げているんです』

(David Reeb)
革新左派であるアーティスト、デヴィッド・リーブは、
テルアビブの裕福なイスラエル人と
そこから僅か数キロの境界線で貧困と抑圧に苦しむパレスチナ人の
生活のギャップに納得できません。
最近の作品は境界線で毎週行われる抗議活動を描いたものです。
警備隊との小競り合いが暴力に発展することもしばしばという村です。

『私は作品でありのままの真実を、現実的で
しかもなるべくおもしろいかたちで伝えようと努めています。
何作品かを同時に手掛けることが多いですね。
しばしばイスラエルの政治問題を扱うのですが、
特にこの十年は写真を元にしたイラストや、
政治に無関係の抽象画を描いたりしています。

イスラエルはもっと積極的にパレスチナの文化に触れるべきです。
軍事主義を捨て、宗教対立を止め、
より住みやすい自由な社会をパレスチナ人と共に
築ける日が来ることを心から望んでいます』

リーブ氏の師匠、イスラエル現代美術の大御所、モシェ・ゲルシュニ氏も
この国の軍事主義や流血の歴史を扱ってきました。

(Moshe Gershuni)
『デビッドは私が美大で教え始めた頃の生徒です。
彼は当初から社会問題に強い関心を持っていました。
彼と共にパレスチナとイスラエルのアーティストを集めて、
占領地や外国に連れて行き、創作活動をしてきました』

(David Reeb)
『この絵は、ごみ捨て場に自分の家の物を拾いに行く
パレスチナの子供を撮影した写真を元に描きました。
イスラエル兵に止められ、爆弾を身に付けていないか
身体検査されている所です。
イスラエル兵はカメラを避けて写っていません。
だからこの絵には『兵士はどこだ』という題名をつけました。
高い防護壁を建てても、長期的には何の解決策にもならないと思います。
真の意味での安全や平和など訪れません。
それどころか、手に負えない問題の原因になるんです』

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