HALTING PALESTINIAN FUNDS (PBS)
http://www.pbs.org/newshour/bb/middle_east/jan-june06/hamas_2-28.html
(PLOの元顧問で、現在は紛争解決問題を扱っている法律事務所の社長であり、
米資金による西岸地区、ガザ地区でのプロジェクトに関わった
AMJAD ATALLAH氏と、
ワシントン近東政策研究所、ワシントンシンクタンクの理事長
ROBERT SATLOFF氏)
MARGARET WARNER:
EUは1億4400万ドルをパレスチナ当局に渡すと言いましたが、
良いアイデアですか。
ROBERT SATLOFF:
私の考えではそれは良い考えではありません。
間違ったメッセージを相手に伝えてしまうと思います。
ハマス、PAが正当化されることになってしまいます。
ハマスが変化することを要求している国際的なコンセンサスは
弱体化するということです。
AMJAD ATALLAH:
私は必要なことだと思います。
良いことか、悪いことかは、何を達成しようとするかによって違ってきます。
安定した環境を維持する為には絶対に必要なことだと思います。
MARGARET WARNER:
PA当局の財政問題の解決にどの程度有効ですか。
一時しのぎですか。
AMJAD ATALLAH:
そうですね。サラリーの支払いに充てられるのは二千万ドルにすぎません。
その大半はイスラエルへの債務支払いの為に使われるんです。
燃料費、その他の支払いです。
資金は実際、イスラエル、パレスチナ両方の為に使われます。
MARGARET WARNER:
パレスチナ当局の財政問題、資金問題、
何故こんなに深刻になってしまったんでしょう。
ROBERT SATLOFF:
パレスチナ全体の収入の流れを見るべきだと思います。
外部から来るもの、毎年約13億ドルを受け取っています。
その中には国連からの資金も含まれます。
この13億ドルの内訳をみてみますと、
約40%が開発援助、
約30%が人道援助、
約30%が直接政府に対する支援、国庫補助です。
人道的援助:食物と水と基本的なサービスについては問題にしていません。
問題にしているのは、開発援助・開発プロジェクトと直接政府への支援です。
これなくして、自治政府は14万人の職員の給与を支払うことができません。
経済生活は成り立たなくなります。
MARGARET WARNER:
ということは、PAとパレスチナの人々は
国際社会の援助にほぼ全面的に頼っているということですか。
AMJAD ATALLAH:
そうです。プラス、イスラエルとの交易ですね。
西岸、ガザ地区はイスラエルのカゴの鳥のようなものです。
イスラエルを相手に商売する限り、パレスチナも何とかしのげるでしょう。
イスラエルとの商売がなくなってしまい、国際援助が中止になれば、
収入源はゼロになります。
MARGARET WARNER:
国際社会はハマス政権が生まれたら、何をすべきだと思われますか。
AMJAD ATALLAH:
まず目標を設定する必要があります。
第一の目標は暴力の再発防止であるべきです。
西岸、ガザ地区に混乱が起きれば、
すぐにイスラエルにも波及する可能性があります。
私達の採る政策はパレスチナを不安定化させないように
しなければならないと思います。
ROBERT SATLOFF:
私は異なる戦略的目的があると思います。
私達は早い段階で何をすべきか決めるべきでしょう。
自由意志でハマスを選んだ結果に対する反動・影響を
受け入れさせるかどうかということです。
支援する必要はないでしょう。
MARGARET WARNER:
給料などを払えなくなってしまったら、大混乱と暴力沙汰になるとは
ROBERT SATLOFF:
そういった混乱は他の政権にも見られます。
十分に市民に供給できない所はたくさんあります。
ここで問題となるのは、パレスチナ人が自分達の選択、選んだ指導者によって、
国際社会が不信任を下したのだということを知らしめることだと思います。
MARGARET WARNER:
人道援助は続けて、人民は助ける、
しかし政府は飢え死にさせてもいいと
AMJAD ATALLAH:
そんなことがうまくやれたことはないと思います。
人道的な惨劇をうまく食い止めながら、
政治的にプラスの結果をもたらした例は過去に一つもないと思います。
パレスチナ人を飢えさせても、ハマスが弱体化することはないでしょう。
パレスチナ政府を締め付けたからといって、
ハマスを締め付けることにはなりません。
MARGARET WARNER:
巧みに切り抜けていくやり方はないと思いますか。
国際社会は巧みにやっていく方法を色々議論している、
貴方は援助のやり方を色々御存知ですよね。
例えば、アッバス議長には援助を続ける、
人道主義的なプログラムも続ける、
しかしハマスには援助はしない、
そんな方法はありますか。
AMJAD ATALLAH:
はい、実際には色々な方法があると思います。
イスラエルがパレスチナから集めた税金を使って、
電気代、燃料費などの債務の支払いに充てるのも一案だと思いますし、
世界銀行が直接ある種の費用を負担することも考えられます。
ある特定の政府機関だけ資金が流れないようにして、
ガザ地区、西岸には金の流れが続くようにするという方法は
色々とあると思います。
MARGARET WARNER:
象徴的にハマス主導政府に援助を与えていると見えない形ですね。
AMJAD ATALLAH:
そうですね。
そうしないとハマス政権に対する影響力は小さくなってしまうでしょう。
これを実行することで信頼関係を作り始めることができるんです。
MARGARET WARNER:
当事国、援助機関はうまく切り抜ける裏口方法を見つけるべきだと思いますか。
ROBERT SATLOFF:
いいえ。
MARGARET WARNER:
世界はハマス政府の崩壊を望むべきということですか。
ROBERT SATLOFF:
そういう戦略的目的を持つべきだと思います。
MARGARET WARNER:
それで政治的変化がもたらされると思いますか。
AMJAD ATALLAH:
それは逆にハマスの力を強めることになると思います。
自分達が苦しんでいるのは、アメリカとイスラエルが
民主的な選挙結果を受け入れることを拒否したからだと考えるでしょう。
アメリカの援助は資金はもともとパレスチナ当局には流れていません。
だからアメリカが援助を中止しても、ハマスは全く何の影響も受けないでしょう
問題は、ヨーロッパの資金です。
資金がパレスチナ当局に流れるからです。
MARGARET WARNER:
援助の条件は
ROBERT SATLOFF:
私達は厳しい要求をすべきでしょう。
20年前PLOに求めたものを求めるべきでしょう。
AMJAD ATALLAH:
パレスチナ当局が長い間存在し続けているのは、占領地の運営母体だからです。
イスラエルにとって効率良く占領が行われているんです。
パレスチナと国際社会がパレスチナ当局の資金を賄っているので、
イスラエルはその費用を負担しないで済んでいます。
国際社会が資金を出さなければ、
結局はイスラエルが占領費を負担しなければなりません。
最終的には誰かが責任を負うことになるんですね。
MARGARET WARNER:
資金を求めてイランなどに接近するのは
ROBERT SATLOFF:
ハマスも長期政権の可能性があるんです。
イランのような破綻国家でも27年間もイスラム政権が続いています。
できるだけこの期間を短くするべきだと思います。
まだチャンスがある内にやるべきです。
MARGARET WARNER:
イランは資金を出す用意も能力もあると思いますか。
AMJAD ATALLAH:
ハマスの勝利は予想外でした。
イランは資金を提供したいと考えていても、実際に出すかどうかは分かりません
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