アッバス議長NHKとの単独インタビュー
NHKBS(2005.3.24(木)放映)
アルジェで開催されたアラブ連盟首脳会議終了後、
アッバス議長は、NHKとの単独インタビューに応じました。
「和平交渉の一番の問題は、2月にエジプトのシャルムエルシェイクで開かれた
首脳会談で合意した内容をイスラエル側が一部しか実行していないことです。
合意した内容を完全に実行しなければ、この先更に大きな問題が出てくる
可能性があります。
我々はパレスチナの全ての武装勢力に停戦合意をさせました。
それがイスラエル側の一番の要求だったからです。
ですからイスラエルにも、やるべきことをやってもらわなくてはなりません。
私達はロードマップを守っているのです。
イスラエルにも守ってもらわなくてはなりません。
全てのパレスチナの武装勢力は基本的には停戦に合意しています。
そして更に重要なこととして、武装勢力、中でもハマスが議会選挙に参加する
ことを決めました。
パレスチナの武装勢力は、今後政党として生まれ変わることでしょう。
武装勢力が政治集団になることで、暴力の停止は確かなものになるでしょう。
もしパレスチナに和平が訪れれば、当局が武器を押収などしなくても、
武装勢力は自らの手で武器を放棄することになるでしょう。
過激派のハマスは、今度の議会選挙に参加することを発表しています。
イスラム聖戦もいずれ参加することになると思います。
選挙への参加を通じて、議会のメンバーになるということは、すなわちPLOの
メンバーにもなることを意味しています。
今パレスチナでは全ての武装勢力が停戦に合意しています。
現状では、パレスチナは安定した状況を保っています。
我々の側は、イスラエルとの和平の実現に向けて、きちんと約束を守って
いるのです。
イスラエル側が停戦合意をしっかりと守ってくれれば、
完全な停戦が実現します」
<私の感想>
NHKの記者の解説では、
「米、イスラエルが要求する、ハマスなどの武装解除を強行すれば、
パレスチナの分裂を招くという事態だけは何としても避けたいということ。
過激派組織をPLOの傘下に取り込んで、テロを自発的に放棄させるのが
最も望ましいという戦略を思い描いている」と分析していました。
まあ確かに最も望ましいし、そうなる可能性もあるとは思うのですが、
少々、または、かなりバラ色過ぎる楽観的見通しとも言えるでしょうね。
あるいは、公的、対外的、表面的には、そう述べるしかないということ
なのでしょうね。
私としては、過激派が選挙に積極的に参加すること自体は肯定的に評価して
いますが、今までの経緯を省みれば、楽観視することはできません。
大きな流れとしては、民主化・議会選挙への参加という方向へは、
確かに向いているとは思いますし、時代の大きな流れはそうなのだと
思っています。
しかし、現実の歴史は、紆余曲折を経るものなので、
そうストレートに理想的には、いかないものなのでしょうね。
ハマス等からすれば、現状では、あくまでも、選挙参加と武装闘争という
二本立てであって、今後の情勢次第で、どちらによりウェイトを置くかは、
流動的なのだからです。
そして、そもそも、根本的な問題として、ロードマップの構想の内容自体が、
パレスチナの多くの人々にとっては、受け入れがたい内容だということが
根底にあると思っています。
いくつかに分断されたパレスチナ国家など、そもそも国家と言える代物なのか
ということです。
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