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2006.05.03

「イラク 武装勢力のメディア戦略」NHK

NHK「きょうの世界」2006.5.1

・ザルカウィのビデオでの発言
「敵であるアメリカは、一部のスンニ派の武装勢力を
民主主義という最悪の茶番劇へと引きずり込もうとしている。
我々ジハード戦士を敗北させる為にである。
その勢力とは、激しい聖戦を全く戦っていないにも関わらず、
自らジハード戦士だと主張しているグループである。
我々はイラクのムジャヒディーン評議会という
新たな組織を誕生させたことを告げる」

今年一月に発足したこの組織は、
イラクのアルカイダの他にも併せて六つの武装組織が参加しています。
そのリーダーは、イラク人のアブドゥラ・バグダーディ氏

・アンサール・スンナのビデオ
「ジハード戦士の真実を伝える為我々は今回ラマディを訪問した」

ラマディの軍事部門責任者へのインタビュー
「攻撃対象から商店や市場、モスクをできるだけ外し、
民間のイラク人が被害者とならないようにすること。
その為我々は爆発物の設置や襲撃を
なるべく一般人を巻き込まない場所で行うようにしている。
建物の陰から米軍に奇襲を仕掛け、
一般人を恐怖に陥れないようにする為と、
道路が封鎖される事態を避ける為だ」

一般市民へもインタビューしています。
「米軍に天井に武器があると疑われ、二度も攻撃された。ただの理髪店なのに」
「ジハード戦士はテロリストではない。彼らの為に犠牲になってもかまわない」

最近更に目立つようになったのが、組織による社会奉仕活動の紹介です。
この映像は、イスラム教の犠牲祭にあたり(2005.12.12)
数十頭分の牛や羊の肉を市民に配る様子です。
文房具を用意して、学校の子供達に配っている様子も映っています。
学業を重んじるジハード戦士達は定期的に学校を訪問し、
子供達を激励していると番組は強調します」


NHKの澤畑剛記者は、
「何とか住民の支持を取り付けて、自分達は戦うだけではなく、地元に密着した
民兵組織のようなイメージを打ち出そうとしているのだと思います。
アンサール・スンナは米軍やイラク治安部隊に対してゲリラ戦術で戦っています
この戦術では、武装メンバーは住民の間に紛れ込んで戦う為、
常に住民を戦闘に巻き込んでは、多くの犠牲者を出しています。
先程の映像の中では、マイクを向けられた住民は、
武装勢力への支持を表明していましたけれども、
実際には、かつて反暫定政府、親武装勢力だった街の雰囲気は
様変わりしていると言われています。
地元住民の中には、米軍は嫌いだけれども、米軍が出て行かないのは、
むしろザルカウィやアンサール・スンナのような者達が暴れているからだとして
むしろ武装勢力を厄介者だと敬遠する傾向が強まっているということなんです。
更に一部では、地元の部族が結集して、暫定政府が行う取り締まりに積極的に
協力する姿勢を示しているという情報もあるんです。
このように取り巻く情勢が厳しさを増す中で、アンサール・スンナとしては、
自分達はあくまで住民の味方だという姿勢を
示す必要に迫られているんだと思います。
宗派対立をこれまで一環して確信犯的に煽ってきたのが、
ザルカウィやアンサール・スンナ」

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コメント

今日は、はじめまして、やもり@アンマンさん、コメントを有り難う御座います。

>このムジャヒディーン評議会も関係があるのでしょうか。
タラバニ大統領はアルカイダ系とは交渉しないと発言していますし、
そもそもアルカイダ系の方も政府と交渉などしないと公言しています。
両者ともそういう意味では完全に一致しています。
一言で武装勢力といっても、組織数は数十とも百とかとも言われています。
中には、それ程過激ではない組織もあるのでしょうね。
地元のあんちゃん達のグループとか、あるいは部族系などは、
部族長さえ認めれば交渉するでしょうね。
アンバール革命軍というのは、その名の通りアンバールの民兵組織です。
これなどは政府と交渉してできた組織なのではないかと推測しています。

スンニ派民兵組織アンバール革命軍
http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/iraq/2006/02/post_7a21.html

「イラク零年」という本には、レジスタンス十組織の統一司令部が
米軍に停戦提案していると書かれています。
http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/iraq/2005/09/post_5d9f.html
最近は以下の四組織の名しか聞かなくなりましたが、


レジスタンスは「タラバニ大統領との交渉」を否認
「われわれと占領軍の間の唯一の対話は銃による」
“The only language between us and the occupation is the language of guns.”
http://www.freeml.com/message/organizer-news@freeml.com/0001219
「イラク・レジスタンスの4組織はタラバニの主張を否認した。
・イラク・イスラム軍の指揮官アブ・ナウファル・アル・ジャブリ師は交渉
についてのタラバニの手法を否認した。
・1920年革命旅団の指揮官であるサディ・アル・ムハンマディ師は、
「これはウソと作り話以外の何物でもない。交渉は行われていない」
・イラク・ムジャヒディン軍の指揮官であるアブ・ハニファ・アル・イラキ
師は
「今や勝利が近づき、レジスタンスの正しさが証明されてきているのに、
我々は誰とも交渉することはない。それに一体、誰と交渉するというのか?」
・アンサール・アル・スンナ軍は
「タラバニの発言は無能の証明だと述べ、明確に否認した」
「1日朝、アブ・アル・バッラ師は
「占領者とその金魚のフンどもはムジャヒディンの背骨を折る見込みもなく、
イラク・レジスタンスの隊列をうち負かす為に互いを対立させようとする
声明づくりを始めた。彼らはスンニ派の住む都市の封鎖と検問所の設置という
しょうもない方法をもちい、さまざまなレジスタンスの組織間の連絡を断ち、
各組織間にウソを広めて互いに離反する種を蒔くことができると考えている。
彼らは、我々が各組織間で相互に協議したりアドバイスを得ることなしには、
次のステップに進むことはないということをご存知ないのだ」

投稿: 妹之山商店街 | 2006.05.04 05:57

 4月30日にタラバニ大統領が「7つの武装勢力との停戦協定合意に目処がつきつつある。」との声明を出したそうですが、(AFP通信)、このムジャヒディーン評議会も関係があるのでしょうか。こうした「停戦」の動きが少しづつでも前進すると、ほのかな希望が見えてくるような気がします。
 ザルカウィの発言にもありますが、「民主主義」の認識に、米国とイラクの武装勢力との間に大きなギャップが見られます。「民主主義」についてのコンセンサスをどのように築いていくのか、将来のイラクや中東と他の世界との関係を考える上で一つの鍵になるのではないでしょうか。
 「民主主義」には米国と欧州と国連の間にもギャップがあるようだし、少なくとも多くのイラク人は米国流の「民主主義」には違和感を感じているように見受けられます。サッダーム流の独裁には反対でイラクはイラク流の民主主義的な政治を求めてはいるものの、少なくとも米国はイラクに内在する民主主義的な文化を無視した「民主主義を」押し付けようとしている、というように。「民主主義」という点では、市民はむしろ武装勢力にシンパシーを感じているのではないでしょうか。

投稿: やもり@アンマン | 2006.05.03 17:18

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