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2006.03.04

ジャファリ首相続投問題

<アルジャジーラの報道>
「イラククルド人の統一会派であるクルド同盟のマハムード・オスマン議員に
よれば、クルド勢力とスンニ派アラブの各会派は、次期首相候補として名前の
挙がっているジャファリ現首相は、中立的でない為、首相候補としては
相応しくないと考えているということです。

『ジャファリ氏を首相にする内閣に参加することはできないと考えている』
(マハムード・オスマン議員)

もしジャファリ氏の指名を強行しようとするならば、旧政権の崩壊以来続いて
いるクルド勢力との戦略的同盟関係の解消の繋がるかもしれず、
大きな代償を支払うことになります。
クルド勢力がスンニ派や元々関係の良いアラウィ前首相の一派と
同盟を組む可能性もあります。

しかしジャファリ氏の指名を取り下げることも、出身のダアワ党や
ジャファリ氏の指名を受け入れたサドル師の勢力などの反発を招くでしょう。
組閣協議における自らの立場を弱くしてしまいます。

クルド勢力がジャファリ氏の指名に反対するのは、油田地帯である
キルクークの帰属問題に関するジャファリ氏の立場が第一の問題だと
考えているからだと観測筋はみています。

各勢力がアメリカの立場にならって宗派間対立を回避し、
イラクの統一を守ろうとしている表れかもしれません。

また、ジャファリ氏がトルコを訪問したことが、
イラクの政治情勢に新しい局面を作り出した原因なのかもしれません。

スンニ派のイラク合意戦線党首のアドナン・ドレイミ氏を狙った暗殺未遂事件が
発生しましたが、ドレイミ氏は、どの勢力をも非難したくないと述べました。
そのような発言をすると宗派間対立を煽る恐れがあるからだとのことです。

統一イラク同盟の側は、候補の選出は同盟の内部問題だと反論しました。

スンニ派のイラク合意戦線と国民対話評議会及びイラキーヤ・リストからなる
評議会は、ジャファリ氏が治安改善や流血の事態の阻止に失敗したと
批判しています。

クルド人勢力がジャファリ氏に反対しているのには、
いくつかの理由があるようです。
ジャファリ首相がクルド人の大統領に連絡せずにトルコを訪問した為、
対立が表面化しました。
ジャファリ首相のトルコ訪問によって、クルド人はイラク北部の将来について
秘密の交渉が行われているという不安を強めました。
またクルド地区に自治権を与える暫定統治法が守られないという不安もあります
その不安はサドル師の勢力がジャファリ氏擁立に傾いたことで、
より強まっています。
ジャファリ首相が、サドル派など連邦制に反対する勢力に譲歩し、
暫定憲法や米軍駐留についても妥協するかもしれないからです。
政治情勢の安定は、治安情況の改善や米軍撤退を実現する為には
決定的に重要です」

「新憲法でイラクの国内対立は解消しない」酒井啓子
http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/iraq/2005/10/post_8510.html

「クルドは、キルクーク油田の石油収入、石油政策における
地方政府の権限増大を主張
一時は地方政府の取り分を収入の三割と要求し、
かつその取り分比率を憲法に明記することまで議論された。

八月初め、SCIRI議長は、南部地方自治政府(シュメール連邦)樹立構想を
打ち上げた。

スンニ派の憲法起草委員は、草案への最後の妥協として、
『連邦制はクルドだけに対して認める』との腹案を持っていたと報じられる。

シスターニ師は、一年半前から連邦制案に反対の意向を示してきた。

<サドル派の動向>:政敵のSCIRIの着実な地盤固めへの対抗

・南部連邦構想を主張するSCIRIは南部県の多くで知事、地方評議会の多数派を
 占めており、最近では、バグダッド知事を辞任に追いやり、自派の知事を立て
 るなど、その勢力拡大は露骨とも見える。

・一部バスラやマイサンなど油田地域では、サドル派やその他地元勢力の影響力
 が強い。
 
・サドル派はスンニ派の反米勢力とも一定の関係を持ち、
 イラクの分裂を危惧する国民の支持を得ている。

南部地域は、自立か、国の統合かを巡り、
SCIRIとサドル派がそれぞれ地盤獲得の熾烈な抗争を開始している」

<私の分からないこと>
 スンニ派とクルドとの対立点
・キルクークの帰属問題、石油収入の分配問題は、決定的に利害対立している。
 かなり深刻な対立点で、他の問題よりもより重い問題だと思う。
・しかし、クルドの自治権に対しては、スンニ派は大幅に認めているし、
 「『連邦制はクルドだけに対して認める』との腹案を持っていた」とまで
 酒井女子は書いている。

<連邦制反対派>:スンニ派とサドル派(ファディーラ党等も)
<連邦制賛成派>:クルドとシーア派(サドル派とファディーラ党等を除く)

<世俗派>クルド、アラウィ派、スンニ派内の世俗派(アラブ民族主義者等)
<宗教派>シーア派、スンニ派内の宗教派(イラク・イスラム党等)

・連邦制問題
・世俗派と宗教派
・宗派
・民族(アラブとクルド)(更にトルクメンとアッシリア)

これらの要素をどう組み合わせるかによって、
新政権の構成、連立、力関係が変動する。

う~ん、私には全然分からない。

サドル師がキーパーソンなような気がする。
サドル師がジャファリ氏を容認したのは、当然、取引があり、
その取引の内容はサドル師の要望を汲むというものの筈だ。
つまり、サドル師とジャファリ氏の間で、
・連邦制導入には、やや反対の方向性
・米軍撤退には、やや前向きな方向性
・スンニ派への歩み寄り

しかし、もしそうなら、クルドが反対するのは、理解できるが、
何故スンニ派が反対するのかが理解できない。
サドル師とジャファリ氏の妥協点ですら容認できないということなのだろうか?
ここが、分からない。


 スンニ派とサドルは従来長い間、種々の面で共同歩調、共闘してきた。
・反米武装闘争
・ファルージャでの共闘
・憲法制定国民投票への対応
・連邦制反対
 
更に、サドル派は明確にシーア派とスンニ派の間の調停、仲介を
一貫して行ってきた。

しかし、ここにきて、サドル派とスンニ派の間に
一定の楔が打ち込まれたと言えるかもしれない。
アスカリアモスク爆破事件以降の混乱の中で
サドル師自身は必死に沈静化を呼びかけ、両派の団結を呼びかけている。
私が知っているだけでも、ティクリートとバスラでは
サドル派とスンニ派の共同の宗教礼拝が行われた。
また、スンニ派のイスラム聖職者協会とも改めて共同歩調をとり
共同の会見も全イラクに披露した。

確かにサドル師自身は、これまで通り両派の調停を必死で行っている。
しかし、従来とは、違う点が一つある。

現地の種々のブログを読んでも、スンニ派の住民自身が
サドル派のマハディ軍がスンニ派のモスクを多数襲撃したと
認識してしまっていることだ。

本当にサドル派がスンニ派のモスクを襲撃したのだろうか?
私には分からない。
何を根拠にサドル派による襲撃と認識しているのだろうか?
顔見知りのサドル派が混じっていたというのなら
かなり信憑性が高いが
私の想像では、おそらく、黒い服を着ていたということが
根拠なのではないだろうか。

もしそうなら、それだけでは、実は、根拠にはならない。
サドル派以外の人間が意図的に黒衣を身に付けて
サドル派の犯行であるかのように装ったという可能性は否定できないと思う。

事実、サドル師自身は
・ムクタダ・サドル師:「スンニ派への襲撃には参加してない」
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/06_Resistance_Report_20060225.html
「ムクタダ・サドル師は、「愚かな者に利用されないために」
サドル派の制服となっている黒色の衣服を着ないよう支持者に命令した
アルジャジーラが報じた。
これより前、サドル師は彼の部隊はスンニ派モスクやスンニ派教徒への襲撃を
行っていないと発表し、マフディ軍の民兵がそのような襲撃に加わっていた
という報告はサドル運動と結びつきのある他の勢力が黒い服を着て、スンニ派
社会とサドル運動の間に楔を打とうとしていることを示唆していると述べた。
サドル派マフディ軍にスンニ派モスクを防衛するよう命令をくだした」

これはまた、サドル派は襲撃していないという根拠にもならない。

私の推測に推測を重ねて、最早憶測の領域なのだが
私の根拠を提示できない憶測を述べると
アスカリアモスク爆破事件は
・サドル師がバグダッドに不在中(レバノンにいた)をわざと狙い
・サドル派内の一定の対スンニ派不満分子を活用して、煽らせて
・確かに一定のサドル派のマハディ軍も
 最初の一日目、二日目には、襲撃に加わっていたのではないかと
 憶測している。
・サドル派ではない者達にも黒衣を着て、サドル派を装った

事件直後のバグダッドのサドル派のスポークスマンが
『スンニ派への報復を』呼びかけている映像は確かに観た。
(私はアラビア語は理解できないので、NHKの翻訳を信じるしかないのだが)

イラク合意戦線のハー氏ミー氏も、27日のCNNのインタビューで
サドル派ではないとは言っていませんね。
サドル派だとも言っていませんが
(シーア派の民兵組織によるものとしか言っていないが)

サドル師が事件後、一日後には、既に沈静化を呼びかけて以降は
サドル派としては、襲撃していないのではないかと私は思っている。

にも関わらず、本当にサドル派が、数日間にわたって襲撃を行っていたというの
なら、それはどういうことだろうか?

もし本当にサドル師は、表側では沈静化、団結を訴えながら
裏側ではスンニ派を襲撃していたのだとしたら
私はサドル師への評価を根本的に変更しなければならない。

現時点では、私にとっては、そういう可能性は高いとは思えない。
もしそうなら、イスラム法学者協会とてサドル派を許さないのではないか。
むしろ、サドル派を装った何者かによる犯行とする方がまだ理解できる。

誰にも何者か分からない、正体不明の暗殺部隊


・宗派間対立を煽る者とそれを抑えようとする者の対立
・占領軍とレジスタンスの戦闘
・シーア派民兵間の抗争(SCIRIのバドル軍団とサドル派のマハディ軍)
・アルカイダ系と戦うスンニ派地元武装勢力(1920年革命旅団、アンバル革命軍
・スンニ派住民とシーア派信徒の対立
・スンニ派住民を殺害する内務省内特殊部隊
・原理主義過激派の跳梁
・女性の人権を守ろうとする闘い
・武装闘争を否定するイラク市民レジスタンスの闘い
・労働組合の闘争
・宗教派と世俗派の闘争

、、、、とまあ、実に様々なものが入り組んでいると思う。

複雑なものを単純化すれば、それ自体が誤りだと私は思っています。
複雑である故にこそ、把握が困難ではあるけれども
それは不可能ということにはならない。
どこまで迫っていけるのかが、私の課題です。

Negroponte's 'Serious Setback'
By Dahr Jamail
03 March 2006
http://www.truthout.org/docs_2006/030306Z.shtml

In the middle of Negroponte's tenure in Iraq, the Pentagon (read Donald
Rumsfeld) openly considered using assassination and kidnapping teams
there, led by the Special Forces.

Referred to not-so-subtly as "the Salvador option," the January 2005
rhetoric from the Pentagon publicized a proposal that would send Special
Forces teams to "advise, support and possibly train" Iraqi "squads."
Members of these squads would be hand-picked Kurdish Peshmerga militia
and Shia Badr militiamen used to target Sunni resistance fighters and
their sympathizers.

Meanwhile John Pace,the Human Rights Chief for the UN Assistance Mission
in Iraq until last month, recently stated that he believes the US has
violated the Geneva Conventions in Iraq and is fueling the violence
via raiding Iraqi homes and detaining thousands of innocent Iraqis.
Pace estimates that between 80-90% of Iraqi detainees are innocent.

Pace, when asked if there were death squads in Iraq, replied,
"I would say yes, there are death squads," and "my observations would
confirm that at least at a certain point last year and in 2005,
we saw numerous instances where the behavior of death squads was very
similar, uncannily similar to that we had observed in other countries,
including El Salvador."


週刊金曜日2月10日
「イラクで起きていること 砂上の侵略者(中)」
「発動された「サルバドル・オプション」(成澤宗男)

「米軍が「最強最精鋭の対テロ部隊」と呼んでいる「特殊警察コマンド(SPO)」
は、幹部の多くが旧フセイン政権時代に共和国防衛隊や諜報機関の要職を占めた
スンニ派のバース党員で固められている。
「死の部隊」は宗派の違いより、米英占領軍とCIAに育成され
統制化にあるという共通項の意味の方が思い」
「米国からSPOの組織化のため派遣された
特殊部隊上がりのジェームス・スチールという人物」は
「エルサルバドルで「死の部隊」を育成し
多大の市民の虐殺を招いた責任者の一人だ」
「米軍の顧問として内務省の管轄に当たっているスティーブン・カスティールも
コロンビアなど南米でCIAや米軍が90年代に展開した「麻薬戦争」で、
やはり住民虐殺を指揮した人物として悪名高い」

「イラクでの法を無視した処刑を民兵や内務省に帰するのは、人道に対する
信じられないような犯罪から米軍の責任をそらすものだ。
こうした情報操作は、進行する大量虐殺の存在を隠すのみならず
さらに宗派対立を生み出すように意図されている」
Max Fuller
Crying Wolf: Media Disinformation and Death Squads in Occupied Iraq
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=FUL20051110&articleId=1230

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