アゼルバイジャン情勢(11/9)
(2005.11.10)ロシアRTR
・「勝利の広場を埋め尽くした反対派は、アゼルバイジャン語で
自由を意味するアサドレイクというスローガンを叫びました。
オレンジ色の旗の下に行われたこの日の集会は
市当局の許可を受けたものでした。
警官隊が取り囲み、見守りましたが、衝突などはありませんでした。
内務省は、法の範囲を超える行動があったり、決められた時間が
守られなかった場合には、厳しく取り締まるとしていました。
緊急対応警察部隊司令官です。
『もしきちんと解散しなければ、解散させます。
集会の許可は、15時から18時です。
18時には完全に終了してもらいます』
三つの政党が構成した野党連合アサトゥリークが、六議席しか
取れなかった議会選挙に、野党は選挙結果は歪曲されていると主張します。
アゼルバイジャン国民戦線のケリムリ党首です。
『次の行動は11月12日に予定しています。
それまでに中央選管には誤りを認めて欲しい。
我々は十分な証拠を提出し、11月6日の選挙は、歪曲され、
国民の意思を反映していないと訴えています』
・NHKBS「きょうの世界」特集「民主化ドミノ:アゼルバイジャンに及ぶのか」
欧州安保協力機構選挙監視団
「今回の選挙は民主的な選挙の国際基準を満たしていない」
アリエフ政権は、二つの選挙区の結果を無効とし、
その二人の知事を解任しました。
BTCパイプラインが来月完成予定。
原油高の中、アゼルバイジャンも空前の好景気に沸いています。
今年の経済成長率は、20%に達する見込み。
街には高級ブティックが次々に現れています。
「買い物に来る人は金持ちばかりです。
世界各国の高級品を買いあさっています」
アリエフ長期独裁政権が、一昨年、父から息子へと世襲。
NHK現地特派員の瀬川明成氏は、
「野党側は今日もここで集会を開くことにしていましたが、許可されませんでし
た。替わりにここでは政権を支持するグループによる集会が開かれました。
与党の発表によりますと、およそ四万人が集まったということです」
野党側は集会等を繰り広げ、これまでに約千人が拘束されたといいます。
反政府指導者グリエフ氏の亡命先からの帰国も認められませんでした。
・与党「新アゼルバイジャン」:63議席
・野党連合:7議席(現有を下回る)
「経済を発展させた我々の石油戦略を国民が支持してくれたのです」
(与党副党首アフメトフ氏)
米NGO USAID選挙本部は、選挙当日2800人のスタッフを送り込み、
出口調査を行いました。
その結果、少なくとも10の選挙区で出口調査と選管の公式発表との間に
大きく食い違いがあったとして、選挙の不正を訴えたのです。
「重大な不正行為は直ちに調査すべき」(米政府エレリ報道官)
「国際選挙監視団の意見を我々は尊重する」(アリエフ大統領)
NHK現地特派員の瀬川明成氏は、
「アリエフ政権にとって最も重要なことは、政権の維持です。
その為にどう対応するのか。アリエフ大統領の対応を見ていますと、
旧ソビエト諸国で相次いだ民主化ドミノを研究し、
その対策を十分に検討したと思われる。
まず、アリエフ大統領は、選挙前にも父の代からの保守派の閣僚を相次いで
解任するなど、改革路線を打ち出すことで、野党支持者の切り崩しを図りま
した。
更に、選挙に対する欧米からの批判については、いくつかの選挙区で投票を
やり直すことで、国内外の批判や不満のガス抜きをして、危機を乗り切ろうと
考えているのです」
9日首都バクーで開催された二万人を超える野党側集会の
参加者のムハンマド・アガエフ氏を取材。
アガエフ氏はバクー郊外で子供や親戚13人と暮らしています。
80年前の建物は階段が崩れかかるなど老朽化が進んでいますが、
修繕する余裕もありません。
仕事もなく、月二千円ほどの手当てが家族にとって唯一の収入源です。
石油による経済成長が続くアゼルバイジャンですが、
その恩恵を受けているのは、政権につながる一部の人達にすぎません。
アゼルバイジャンでは、国民の半数が、一ヵ月の収入が四千円に満たない
厳しい生活に追い込まれている。
「国家の富が庶民に行き渡っていない」
「ウクライナのようにこの国も民主化革命は避けられない」
ロシアは、選挙に重大な不正はなかったとアリエフ政権擁護を明確に打ち出す。
トルコやイランとも国境を接する戦略的要衝に位置する
アゼルバイジャンとの良好な関係を維持すると共に、
これ以上の民主化ドミノの拡大は何としても阻止したい。
米は、野党勢力が影響力を強め、民主化が進むことを期待。
米は、アリエフ政権の崩壊そのものは、望んでいない。
カスピ海石油BTCパイプラインは、戦略的に重要。
<私の感想>
野党集会参加者の中に
”STOP Trading our Democracy for oil.”というプラカードもありました。
これは、なかなか鋭いですね。
<長期独裁政権>と<欧米>との、カスピ海石油資源を確保したいという
思惑からの『政治的妥協』、予め、ある制限された範囲内での『改革』なのでは
ないかというラディカルな問題提起ですね。
鋭い政治的洞察力ですね。
私も同感です。
<参照>
・「完成 カスピ海パイプライン」 NHKBS
・「カスピ海・地中海パイプラインをいく~石油の中東依存を変えられるか」NHKBS
・「民主化ドミノ~市民パワーと米ロの攻防~」(NHKBS世界潮流2005)
アルメニア正教のアルメニア、グルジア正教のグルジア、
アゼルバイジャンは、イスラム教徒が多いので、同じイスラム教徒ということで
チェチェンの難民も、かなり多くがアゼルバイジャンのチェチェン難民キャンプ
等でも暮らしている。
もちろん自由な政治活動などできるはずもないのだが、、、
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