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2005.08.11

「「ウズベク・ジレンマ」に揺れるアメリカのアジア戦略」西村陽一(世界9月号)

 「「ウズベク・ジレンマ」に揺れるアメリカのアジア戦略」
  西村陽一(世界9月号)

 6月下旬、米上院で「ウズベキスタン危機」に関する公聴会が開かれた。
「ウズベキスタンはワシントンに古典的なジレンマを突きつけている」
「独裁者を支持すべきなのか、それとも民主化を促進すべきなのか」

国務省と国防総省との路線対立とも重なっているようだ。
国務省は支援削減を、国防総省は支援増加を。

・国防総省のジレンマ
 対テロ戦協力の一貫として、ウズベキスタン軍に訓練を施してきた。
 米国の訓練を受けた兵士が、治安弾圧を行わない保証はない。

・国務省のジレンマ
 カリモフ後の青写真がない。
 カリモフ政権倒壊後に、イスラム原理主義過激派がヘゲモニーを握らない
 という保証はない。

 「民主主義革命の三条件」(カーネギー財団)
1.支配エリート層の対立と分裂で政権交代後の受け皿
2.反政府活動への資金ルート
3.選挙を含む非暴力的な手段に国民を動員

「ウズベキスタンにはそのすべてがない」

・上海協力機構(SCO)の変貌
 
 中央アジア諸国は、従来は、米と中露とを競わせ、最大限の利益を
引き出そうと努めてきた・
 しかし、相次ぐ政権倒壊でそんな余裕はなくなった。

「地域機構としてまとまって行動することによって、グルジアやウクライナなど
 の色とりどりの「カラー革命」に対抗する」という新たな目的を見いだした。
 米国の中央アジアへの浸透を防ぎ、「革命」の伝播を防ぐ。これがSCOが
 自らに課した新たな課題である」

「ウズベキスタンの内務、治安部隊は、中央アジア最大、最強の武装組織だが、
 同時多発的な騒乱に対処する能力には限界がある


 <私の感想>
 中央アジア諸国は、中露と米との双方を競わせ、自らにとってより有利な条件
を獲得するという、したたかさを見せてきた。
しかし、相次ぐ政権倒壊を目の当たりにして、中露側へと傾いたのは事実だろう。
しかし、だからといって、完全に中露側に組したという訳でもないだろう。
米国はどう対処するのか?
<強硬策>を採るのか、<懐柔策>を採るのか。

 いずれにせよ、上海6は、印パ、イランをオブザーバーに加えてことと、
米軍基地撤去要求と突きつけたことにより、一躍国際政治舞台のスポットライト
を浴びた。
中央アジア政局、更には国際政治全体に大きな影響を及ぼす実体となったのは、
間違いないと思う。

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