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2005.05.26

「完成 カスピ海パイプライン」 NHKBS

 「完成 カスピ海パイプライン」
  NHKBS「きょうの世界」(2005.5.25(水)放映)

 NHKモスクワ支局長の石川記者は、
「アゼルバイジャン沖の原油はアゼル・ライトとして大変軽く、
 品質が高く、高値で取引されます。
 ロシア産の重い原油と混ぜない独自のルートを持つことは、
 その面でもアゼルバイジャンにとって大きな利益となります」
「この十年間で大きく変化したのは、覇権、影響力を争うという地政学的な
 考えではなく、経済的な合理性を考えるということが主流となったこと。
 BTCパイプラインが完成したとしても、余りある膨大な石油がカスピ海周辺で
 発見されたこと。石油の高値。
 露自体が欧米への積極的な輸出戦略を採っている。
 パイプラインを独占しているトランスネフチという会社にとっては、
 競争相手として不愉快な存在でしょう。
 露の民間石油会社にとっては価格競争が生まれることは、石油会社にとっては
 歓迎すべきことです。
 『どこを通るかは問題ではない。石油とは、パイプラインの通行料がより安く
  しかも石油がより高い市場に流れるルートに流れていくんだ』
 地政学から経済合理性への逆らい難い時代の流れ

 対岸のカザフスタンのカシュガン油田:ここ30年で発見された最大の油田
産出量は北海油田を抱える英一カ国に匹敵
採掘を行っているのは、米伊仏日などの国際共同企業体
タンカーでバクーへ送る計画(2008年六万トン級タンカーを六隻)
更には海底パイプラインも計画

・同ルートのガスパイプラインも来年完成
・鉄道や通信網でも欧と繋がり強化の共同宣言
・カザフ→グルジア→ウクライナ→欧州石油ルートも現実性を帯びる
 (エネルギーの露依存を低下させる)
・カザフ・中国パイプラインは今年末に完成予定
・経済面では、経済成長の続く露市場は、貿易相手国としての重要性は
 高まっている


 <私の感想>
 CIS諸国(アゼルバイジャン、カザフ、ウクライナ、グルジア等)は、
反ロシアなのではなく、露の政治的・経済的一極支配から、
その影響力の相対的低下=相対的自立を狙っているのだと思う。
少なくとも経済的には、露との関係は切っても切れない。
政治的には欧米寄りになっても、経済的には最大の貿易相手国であることに
変わりはない。
電気供給などは、露に一手に握られている。
また、露への出稼ぎ労働者からの仕送りは国家予算規模に巨大だ。
また、カザフなどは、露、中、欧米と石油輸出先を多様化しようとしている
のであって、決して反露ではない。
個々の国から言えば、露・中・欧米と対象を多様化させ、より有利な条件を
引き出すという、基本的な政治手法を採っているのだと思う。

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