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2005.01.20

「ウクライナ 流血はこうして回避された」NHKBS

 「ウクライナ 流血はこうして回避された」NHKBS
 (2005.1.19(水)放映)

「軍の司令部は、11月28日に治安部隊に実弾を込めるよう指示を出しました」
「流血の危機は目前に迫っていました」
 野党支持者で軍の駐屯地を包囲し、出動を阻もうとしました。
「我々が軍を包囲すると、意外なことに、兵士の方から『戦う気はない』と
 伝えてきました。まさにあの時、ウクライナの運命は決まったのです」
 (野党陣営選挙参謀ポロシェンコ議員)

「選挙は単なるきっかけにすぎませんでした。政府への不満は限界にきており、
 今回のような爆発はいずれ起きたことでしょう」
 (最高会議リトビン議長)

・治安機関内部にも、幹部から一線の兵士まで、クチマ体制に対する不満が
 あったこと
・退任するクチマ大統領が武力行使に消極的だったこと

 しかし、ウクライナ東部の財閥と折り合うことは難しいとみられています。

 <私の感想>

 <西部のオリガルヒ>と<東部のオリガルヒ>の利害対立
 その<共通利害>と<対立利害>
 各<特殊利害>と<個別利害>の相互対立

 <経済エリート>とその代弁者たる<政治エリート>
 結局は、その力関係の反映、力関係の妥協に落ち着いていくのでしょうね、


 東部ドネツク州は、ウクライナ共産党の支持が高い地域でしたが、ヤヌコー
ビッチ首相は1997年の副知事就任、その後の知事時代、炭鉱など旧国営企業を
たて直し、給与、年金支給を改善。2002年の総選挙で、与党議席の上積みに
貢献し、国民から見放され窮地にあったクチマ大統領の信頼を得ました。
 その後首相に抜てきされてからも、東部の重工業地帯の労働者の給与改善を
実現。遅配に抗議するストライキもめっきり減りました。
 「これまでクチマが何度大統領令を出しても実行されなかった改革を、ヤヌコ
ビッチは実現した。管理者としては有能といえる」


・<ウクライナの各政党と議席

・<ベラルーシ・ウクライナ国内ニュース
ウクライナ共産党は、大統領決選投票でどちらの候補も支持しないことを決めた。

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コメント

 「『オレンジ革命』後のウクライナ」NHKBS(2005.7.25)

・報道の自由:旧政権時代には、ニュースで取り上げる話題から表現まで
       大統領府が細かく検閲していました。
       現政権批判も自由に行えるようになった。
・内務省:幹部職員の九割を含む約九千人を解雇。

・一市民の声グリゴリエフ氏(医薬品卸売会社経営)
 ユーシェンコ側のデモを支援(風邪薬等を無料で配布)
 欧米のような市場経済化を公約で掲げるユーシェンコ氏を支持
 賄賂やコネに左右される不透明なビジネス環境が変わると期待。
 しかし、今の所、官僚の対応は旧政権時代と変わっていない。

・市民団体「ポラ」:ユーシェンコ政権実現の後ろ盾
 先月、中小企業への増税に反対する大規模なデモで、政府の決定を撤回させる

 「“革命の英雄”新国家を語る」~ウクライナ大統領に聞く~
  NHKクローズアップ現代(20056.7.27)

・2005年6月、NATOとの合同軍事演習
・露への経済的依存:原油の八割は露から輸入
 5月、ガソリン不足
 3月、トルクメニスタン訪問
 カザフスタンから原油輸入で合意
 カザフスタン→カスピ海→アゼルバイジャン・グルジア→黒海→ウクライナ
 →(将来的には、更に)EUへ

・通信ネットワークも露企業が握っている

・「ウクライナには高度な宇宙航空産業がある」とPR
・広島原爆ドームを訪れ、熱心に見学。
 チェルノブイリを抱えるウクライナも日本と協調し、核廃絶に努力する
 (ウクライナは全核ミサイル・サイトを破棄している)


 <私の感想>
 ウクライナでは、TV局の報道の自由化等、マスメディアでは
民主化が成果を挙げているように思える。
 露からは、経済的に相対的に依存度を下げたいということであって、
露と対立したい訳ではないし、そもそも対立できるような状況にない。
今後も露に依存するしかない分野も多いが、それを徐々に相対的に
下げていきたいということだと思う。
 例えば、カザフスタンは、露中と政治的・経済的に接近を深めているが、
だからといって、露中一辺倒なのではなく、欧米とも一定の関係は構築して
いるし、今後も維持したいと思っていると思う。
カザフスタン→カスピ海→アゼルバイジャン・グルジア→黒海→ウクライナ→
→(将来的には、更に)EUへという石油パイプラインに、カザフスタンが、
石油を供給するというのも、その一つの現れだと思う。

投稿: 妹之山商店街 | 2005.07.26 00:16

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