「プーチンの新しいジレンマ」下斗米伸夫(中央公論12月号)
<特集:悩めるロシア>中央公論12月号
「安定軌道に乗れるか:プーチンの新しいジレンマ」下斗米伸夫
・毎年6%以上の経済成長で所得倍増政策
・大統領選で71%超の高支持率で再選
・BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一員
・知事の選挙制から任命制(正確には任命制)への転換
昨年モスクワで評判だった映画「オリガルフ」
ベレゾフスキーやプーチンの政敵だったホドルコフスキーを彷彿とさせる
(日本未公開)
<プーチンの支持率>
・2000年:61.6%
・2001年:63.5%
・2002年:66%
・完全に支持する :11%
・基本的に支持する:35%
<何が功績か?>
・ロシアの世界でのイメージ向上:44%
・権力の垂直的統制強化:34%
・反テロ行動:22%
腐敗に対しては44%が不十分
<プーチンは誰に依拠しているか?>
・安全保障関係者:19%
・オリガルフ:15%
外貨準備高は1000億ドルに迫る
<ストライキ件数>
・1998年:11162件
・2000年: 817件
・2003年: 67件
「チェチェンには独立を促す、まとまった政治勢力はもはや存在しない。
決して穏健派ではなかったが、一応選挙で選ばれたマスハドフなどの影響力は
ほとんどない。逆説的だが、このことが、急進武装勢力や外部勢力の無慈悲な
テロ組織への変貌を容易にした」
・行政改革は、ソ連崩壊以来の課題であり、ベスラン事件がきっかけになった
ものの、その結果ではない。
・知事任命制:垂直的統制強化:大統領が推薦し、地方議会は拒否できるが
解散のリスクを負う
・背景:ソ連以来の89の州・共和国の行政単位が改革されなかったこと。
・ソ連崩壊の過程で地方の王国化が進んだ
・非対称的な連邦制
・チェチェン紛争での強圧的な政府の姿勢は、こういった地方勢力に対する
見せしめでもあった。
・いくら腐敗しているといっても知事の選挙制度まで廃止するというプーチンの
措置が批判を浴びている。
・地方の一人区の下院議会選挙:その地域を握るのが、クレムリンかオリガルフ
か、地域マフィアかの違いがあるだけだ。
・地方の現職よりも大統領推薦のほうがましな場合も決して少なくないといった
声があることも事実だ。
「こういったことからプーチンとKGBによる全体主義的独裁の復活、といった
スローガン的認識に一部の観察者は飛びつきがちだ」
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