「”日本人”アフガン武装解除に挑む」:NHK・BS
アフガニスタンで軍閥の武装解除を行うのは、日本政府が派遣した民間人
本部は首都カブールの日本大使館
メンバーは外国人や現地スタッフも入れて総勢10人
・リーダーは立教大学教授の伊勢崎賢治さん
国連の要請でアフリカで武装解除に携わった経験がある
計画の立案、武装勢力との交渉を指揮
・元自衛官の園部宏明さん:武装解除の監視
・人道復興支援活動を行ってきたNGOの瀬谷ルミ子さん:
除隊した兵士の職業訓練
今年9月の総選挙までにできるだけ武装解除を進める必要がある
2002年1月東京でのアフガニスタン復興支援国際会議で
米:国軍創設
独:警察再建
英:麻薬対策
伊:司法改革
日:武装解除 と、役割分担
・アフガニスタンには400以上の武装勢力が存在します
その内、1万人近くの兵力を誇る軍閥は9つ
・10万人の武装解除が目標
武装解除プロジェクトDDR
1.武力の調査
2.武器の回収・兵士の除隊
3.職業訓練=社会復帰
マザリシャリフを実効支配するモハメド・アタ将軍は、カルザイ暫定政権の
メンバーでもある。
武装解除に積極的な姿勢を見せ、政治的影響力を確保する狙い
総選挙で自分の派閥の候補者を多く当選させ、勢力拡大を図る
総選挙を前に、政治家としての顔を見せ始めている
住民の話を聞き、住民同士の争いの仲介もする
ライバルのドスタム将軍は暫定政権の軍事特別顧問
病院・学校建設も行う
財源は、国境貿易の関税・通行税・周辺諸国からの資金援助
武装解除は、同時に平等に進める必要がある
双方の第一段階の武装解除で合意に達する
戦車など重火器の引渡しと千人の兵士の除隊
しかし、ドスタム将軍の方は、戦車数半数、しかもポンコツばかり
当然、アタ将軍の方が怒り出す、もし相手が約束を守らないのなら、
「武器を取り戻す」と。
園部氏:「我々は軍閥の生存権を脅かしている」
伊勢崎氏:大統領令や大臣命令を出させて圧力をかける
「銃を突きつけて武装解除に応じさせるということをしないだけで、
政治的には強制している、国家の命令なんです」
国防省:「ドスタム将軍は将来の高い政治的地位を得る交渉の道具としている」
除隊した兵士一人一人を登録していました。
直接デジカメでパソコンに登録し、指紋読み取り機器でも登録していました。
除隊した人には、職業訓練を半年間行い、その間は日当も出る
今年2月までの武装解除は、4ヵ所、5000人
伊勢崎氏:「軍閥の武装解除が進めば、呪縛が少なくなっていけば、パトロン・
クライアント関係がなくなっていく。これはもう時間の問題です。
軍閥の力がなくなっていくのは」
世界から忘れ去られつつあるかのようなアフガニスタンで、相対立する軍閥と
直接渡り合い、戦車・大砲・重火器を双方から差し出させ、数千人の兵士を除隊
させ、職業訓練を行う。
こんな素晴らしい活動を行っている日本人民間人がいることを知り、大いに
感動しました。
しかし、こんな大仕事を行うスタッフが、外国人と現地スタッフを入れて、
総勢10人というのは、なんだか余りに少な過ぎるのではないかと感じました。
もっともっとたくさんの人的資源と資金を費やしてもよいのではないかと思いま
した。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
「密着!アフガンの元自衛官」:「報道特集」(2005.5.15(日)放映)
元自衛官田川友康氏(62歳)
国連の国際監視団の一員として軍閥の武装解除を監視
2月20日パンジシール閥852歩兵連隊基地:約600人の兵士の武装解除
米軍の警備の下
確認を終えた一人一人の兵士の手の平に赤マジックを書いていました。
約500丁の自動小銃を点検:パキスタン製、中国製、イラン製RPG7、
「ほとんど使えない銃です」打ち続けると銃身が溶け出してしまう粗悪な銃
こうした使えない武器は武装解除の対象としては認められない。
国連担当者が軍閥の指揮官に問いただす。
軍閥連隊長は隠し持っていることを認めようとはしない。
国連担当者が更に詰め寄る。
「駄目だ。あそこの倉庫にまだ武器が残っているのではないか」
「我々は300以上の武器を持っている。しょうがない、それを出すよ」
しかし、すぐ提出することはできないという。
しかも明日は、別の場所に行かなければならないので、今日はこれで終了。
「なかなかうまくいかないですね」(田川氏)
田川氏が所属する日本のNGO:JMASが国際監視団を組織
園部宏明団長(63)ら日本人7人、独人、カンボジア人:計13人
「国連やNGOの車が狙われるという情報があった。それまでIOG(国際監視団)
というマークをつけていたが、逆に危険だと判断し、剥いだ」
2月末パンジシール閥主力部隊武装解除
数百台の旧ソ連製戦車(T62:アフガンにある戦車としては一番新しい)
何と旧ソ連製短距離弾道ミサイル・スカッド14機まで持っていた!!
「とんでもない兵器を軍閥が保持していた」(田川氏)
軍閥は一国家の軍隊に匹敵するほどの軍事力を有していた。
「小火器はどこかにまだ保管していると思う。
戦略的な意味での軍事力はほとんどなくなってきている」(田川氏)
国際監視団の芹沢智一氏(32)はバーミヤンで約130人を武装解除
バーミヤン第34師団参謀長のボディガードが、武装解除手続き後、
別の銃を持ち、護衛の任務についていた。
「これは完全にDDR(武装解除)の精神に反した行為」(芹沢氏)
ここで、軍閥側に抗議すれば、武装解除そのものを拒否するかもしれない。
記念品を渡し、記念写真を装って、証拠写真を撮っていました。
名前と武装解除の証明番号を控え、写真と書類を国連や米軍の参加する
武装解除の最高機関に送付
抵抗する軍閥の幹部達
しかし、一般兵士達は、武装解除を終えると、笑顔だった。
「うれしいよ。銃を持つのにもう疲れた。これから職業訓練を受けるんだ」
カブール郊外:日本紛争予防センター(JCCP)職業訓練センター
除隊した兵士に半年間、金属加工、木工技術などを学ぶ。
しかし、職業訓練を終えても、職はなかなか見つからない。
「社会復帰は非常に難しい。受け皿になる市場が育っていない。
社会復帰事業の後に職が見つからず、軍閥の元に戻ってしまう構造がある」
(JCCP在アフガン代表高木博也氏)
「国際社会が兵士達に十分な配慮をしなければ皆簡単にテロリストの味方と
なるだろう」(第5軍団ハジ・アルマス・ハーン司令官)
「武器を取り上げただけでは、アフガニスタンに平和は戻らない。
産業が振興して、人々が仕事に就いて初めて安定した国になる。
それがなければ、若者達はまた軍閥に戻って銃を持つ暮らしに
逆戻りしてしまう」(田川氏)
<私の感想>
したたかな軍閥との、粘り強い交渉、
御苦労様です。素晴らしい仕事だと思いました。
投稿: 妹之山商店街 | 2005.05.18 01:21